教育現場の挑戦 意欲を高める「学校」づくり

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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上級生が下級生を指導する光景に見る自主性と積極性

 昼休み、体操服に着替えた1、2年生が続々と体育館に集まってくる。城東中学校では、卒業式前に3年生と1、2年生との「橋渡し集会」を行うが、そこで1、2年生が「よさこいソーラン」を踊るのが伝統となっている。踊りの振り付けを、2年生が1年生に指導するのだ(写真1)。
写真1
写真1 よさこいソーランの練習は、生徒が自主的に行うもので、主に昼休みに行われている。2年生個々が1人の1年生を、責任を持って教えることになっている。それが集まって何人かのグループになり、教えることが多い
  体育館内のあちこちで練習が始まる。一対一から10数人のグループまで、ほとんどがグループになり教えている。1年生一人ひとりに2年生の担当がつくのだが、2年生の中でも上手な生徒が中心になるため、自然と大きなグループができるのだ。
  教える方も教えられる方も熱心で、楽しそうだ。つまらなそうにしている生徒、恥ずかしがっている生徒は、1人も見当たらない。そして、昼休み終了のチャイムが鳴ると、生徒はピタリと練習をやめ、教室へと帰っていった。体育館には教師が何人か来ていたが、練習をただ見守っているだけだった。指示がなくても、生徒たちが練習に取り組む積極性に驚かされた。
  こうした質の高い生徒集団づくりは、年間行事を中心にあらゆる活動の中で進められている(図1)。よさこいソーランの練習もその一環だ。活動を通じて集団の質が高まれば、活動自体の質も高まる。達成感や充実感も増し、更に集団の質が高まっていくのだ。
  「集団づくりといっても、集団の中に個が埋没する『集団主義』に陥ってはいけません。『個』を育てるための集団づくりをめざしています」(岩田先生)
  (1)それまでに培った信頼関係をもとにし、(2)時間を厳守するなどルールが自然と身につき、(3)「橋渡し集会」で3年生を送るためという明確な目標を認識し、(4)2年生が1年生一人ひとりを担当するという役割を持つというように、よさこいソーランでは、教師が裏方に徹して指導することで、四つの目標が自然と身につくようになっている。
▼図1 質の高い集団づくりにつながる学校行事や活動図1
上記のほか定期的な行事として次のイベントを実施
・城中生の主張…有志のグループが演説、歌、演劇などを披露するイベント
・夢広場づくり…生徒の発案で雑草地を憩いの場として整備。机とイスを起き、青空給食会などに利用
・委員会集会…各委員会が活動を工夫してアピールする集会

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