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ITの使用パターンをつくることで表現力とITスキルが身につく
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第二中学校の特徴的なIT活用場面は、「進路に関する取り組み」にある。「事前学習→体験学習→まとめ→発表」というパターンを形づくり、表現力を養うツールとしてITを効果的に組み入れている。体験学習の前に、生徒たちはインターネットなどで見学先の情報を集め、実施後にはプレゼンテーションソフトを使って成果を発表する。
例えば、2年生の職場体験では、事前の調べ学習でパソコンを使用している(次ページ実録e授業参照)。授業では、先生がソフトウエアの使用方法を簡単に説明した後、生徒たちはすぐに各自で体験予定の職種について検索を始めた。調べてわかったことは、学習ノートの『職業体験学習ワクワクWORK IN』に手書きで記入していく。
「調べた内容は、画面をプリントアウトさせずに、あえて手書きで記入させています。調べた結果をそのまま写すのではなく、自分に必要な情報を生徒自身に選ばせるためです」(情報教育担当・酒井孝弘先生)
席が近い生徒同士が言葉を交わす姿は見られたが、ほかのことに気を取られている生徒や何もしていない生徒は1人もいない。1人で1台のパソコンを使えることで、生徒が個々に集中し、効率的に調べ学習ができるという効果もある。
「本校では、パソコンの使い方などを指導する情報教育のカリキュラムを組んでいません。『学習に必要な道具としてコンピュータを使う』というスタンスで授業に組み込み、使い方はその都度、指導しています」と、山本先生。「必然性」を考えてITの使用場面を選んでいるからこそ、生徒もパソコンを学習の道具として十分に活用できるのだろう。
また、生徒にコンピュータを自由に使わせることが良い結果につながっているとも話す。例えば、「総合的な学習」には、ほかに「ホームページ制作」や「映像編集」といったITを使うコースがある。プロモーションビデオ風に演出された作品や、早回しや逆回しを効果的に使った特撮の作品など、生徒たちの表現力には目を見張るものがある。
「生徒には表現したいものがあり、そのための便利な道具がパソコンという感覚なのです」(酒井先生)
表現の手段としてパソコンを使うことで思わぬ効果も見られた。
「人の前に出るのが苦手な生徒には『発表会で聴衆が注目するのはスクリーンであって自分ではない』ということが精神的な負担を軽くしてくれるようです」(酒井先生)
「普段なかなか声を出さない生徒が、発表時にマイクを握るとスムーズに面白く話をしたり、カメラの前に立つと堂々と演技したり。こんな面もあったのかとびっくりさせられます。また、本人もそれをきっかけに日常生活でも積極的になっていくんです」(山本先生)
第二中学校のこれらのエピソードから、表現のツールとしてITの可能性をうかがい知ることができるだろう。
「情報モラルについては、事前に生徒に説明したうえで、大体は自由に使わせています。『望ましい使い方』を限定し、細かく指導しなくても、子どもたちはどんどん使いこなします。大人はどうしても『変なサイトを見ないか』『パソコンを壊されないか』と不安になりがちです。しかし、子どもなりに『これはまずい』『壊したらいけない』と考えて使っているようです」 |
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