特集 コミュニケーションが生まれる授業づくり
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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表現活動と言語技術を分けた指導を

――今後のコミュニケーション教育に必要な観点は何でしょうか。

 

平田 価値観が多様化し、一人ひとりの考え方がバラバラになった今、求められるコミュニケーション力も変化しています。日本型のコミュニケーションは対立や摩擦を嫌いますが、今後の教育では自分の意見をはっきりと表現する場を設けるべきです。例えば、演劇なら発表というゴールに向かって、異なる意見を何とかまとめていく経験をさせていく。

 

秋田 多様な価値観を認めるとはいえ、そこには論拠が必要なことも教えたいですね。単に意見を言うのではなく、論拠は何か、どこまで当てはまるのか、といった論理的な思考とそれを表現する技術を育てることで、対立を超えた真の理解が生まれると思います。

 

平田 ただ、そうした言語教育を小学校の低学年から徹底すれば、逆に表現を嫌いになってしまうかもしれません。小4くらいまでは、表現活動と言語技術は違うものと捉えて、別々に教える方がよさそうです。

 

秋田 そうですね。幼児教育の表現領域の場合は、図工や音楽、ダンスなどアートの各分野を含めて、すべてを「表現」として一体化して捉えています。

 

平田 小学校の低学年でも同じように、表現という大きなくくりで教えるとよいかもしれません。繰り返しになりますが、問題は子どもの能力の低下ではありません。学校教育システムが社会の変化に追いついていない部分を改善し、子どもたちがこれからの社会に求められる能力を十分に伸ばしていけるような教育を実現していってほしいと思います。

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