こうした改革は、授業にはどのように反映されているのだろうか。荒川先生が教える1年生の社会科の授業を見学させていただいた。この日の単元は「地図の作り方」。メルカトル図法やモルワイデ図法といったさまざまな地図の図法とその特徴を理解させるのが狙いだ。
各グループに地球儀を渡した荒川先生は、「地球儀を平面図にしたらどうなるか、話し合って描いてみて」と、模造紙を配った。教室に生徒たちの声が響く。地図帳を広げて話し合ったり、地球儀をくるくると回して意見を述べ合ったり、助言を求めて隣のグループを訪れる生徒もいる。その間、荒川先生は机の間を回って、考えあぐねるグループにはアドバイスを与える。
だが、グループの考えはなかなかまとまらない。そこで荒川先生は、「地球儀の表面をよく見て」「丸いものを平らにするとどうなる?」などとヒントを与えて、更に話し合いを促す。
ある程度話し合いが進んだところで、グループの代表者が黒板の前で意見を発表する。その合間に、荒川先生は次々と生徒を指し、それぞれの案に対する意見を述べさせた。その際、挙手はさせない。常に「自分が指されるかもしれない」という緊張感を持たせるためだ。更に、生徒の発言にはすぐに答えを出さずに、「Aさんはこう言っているけれど、Bくんはどう思う?」などと合いの手を入れ、クラス全体で議論している空気をつくり出す(図1)。
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