特集 コミュニケーションが生まれる授業づくり
愛知県
豊橋市立本郷中学校

1986年開校。心豊かな思いやりのある生徒、よく考え自ら学ぶ生徒、健康でたくましい生徒の育成を目指す。豊橋市の南部に位置し、周囲は緑鮮やかな水田や清流に囲まれた自然豊かな環境。恵まれた環境を生かした教育が特徴的である。

近藤秀樹

▲校長 近藤秀樹先生

生徒数◎519人
学級数◎14学級
〒441-8153
愛知県豊橋市高師本郷町字竹ノ内90-1
TEL 0532-48-3116
FAX 0532-44-1372
http://www.hongou-j.
toyohashi.ed.jp/hongou-j/
top/index.htm


VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【事例2】生徒の人間関係づくり

教育カウンセリングの手法でコミュニケーションを活性化

愛知県 豊橋市立本郷中学校

本郷中学校では、教育カウンセリングの理論をベースとした「構成的グループ・エンカウンター(SGE)」で、生徒の自己肯定感とクラスへの帰属意識を高めている。互いを認め合う活動の中で生徒はどのように変わるのだろうか。

コミュニケーションの不足を「荒れ」の一因として捉える

 本郷中学校は2004年度から「NEW本郷中」をスローガンに掲げて改革を進めている。その背景には、「荒れ」の問題があった。本郷中学校では長年、服装や頭髪の乱れ、器物破損、喫煙、徘徊(はいかい)、教師への暴言など、生徒の問題行動が続いていた。04年度に本郷中学校に赴任した近藤秀樹校長は、当時を次のように振り返る。
  「荒れた生徒はごく一部でしたが、その生徒たちに学校全体が振り回されていました。教師は学校を良くしようと一生懸命取り組んでいましたが、厳しく指導するだけでは生徒は教師の言葉に耳を傾けてくれません。生徒と教師、あるいは生徒同士のコミュニケーションを改善しなければ、学校の建て直しは難しいと教師全員が感じていました」
  そこで本郷中学校は、生徒の人間関係を改善するために教育カウンセリング理論に基づいた生徒指導を行うことにした。指導領域としては、
(1)人間関係
(2)学級経営
(3)学習(授業)
(4)生徒会(委員会)活動
(5)地域連携

の五つを柱とし、具体的な手法として「構成的グループ・エンカウンター(Structured Group Encounter=SGE)」と呼ばれる手法を導入することにした。SGEは、集団学習体験(エクササイズ)により心の交流の場を意図的につくり出し、本音と本音の交流による親密な人間関係を構築する活動だ。生徒同士を話し合わせたり、互いの良いところを見つけ合ったりする中で、自己肯定感や他者への思いやりを育んでいく。近藤校長と同じく04年に赴任した、校務主任の柴田祥宏先生(日本教育カウンセラー協会所属・上級教育カウンセラー)は、SGEの意義を次のように語る。
  「最近の生徒は、日常生活で自分をさらけ出したり、相手を理解したりすることが苦手です。コミュニケーションの場を教師集団が意図的につくり出すことが必要だと思います」

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