特集 コミュニケーションが生まれる授業づくり

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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テーマではなく内容を与える作文指導

 問答ゲームで議論の基礎を身に付けたあと、生徒たちは「話す・聴く・読む・書く」スキルを複合的に学んでいく。
  問答ゲームの次に学ぶ「再話」は、作文や小論文を念頭に置いた学習だ。これは、教師が生徒に物語を語り聞かせ、生徒はその内容を規定の分量にまとめるというもの。自身も麗澤中学・高校の教壇に立つ三森所長は、狙いを次のように説明する。
  「テーマを与えて『自由に内容を書いてごらん』と言っても、作文に慣れない生徒はそもそも何を書けばよいのかわかりません。そこで『再話』では、最初に内容を与えて文章を書くことへの抵抗感をなくし、無理なく文章をまとめる技術を身につけさせます」
  内容を聞かせることで、生徒は「忘れないうちに書かなくては」と思って一気に書き上げようとし、最終的には30分間で800字程度は難なく書けるようになる。また、その過程では物語の要点を「聴く」力も育成できる。
  取材で見学した3年生の授業では、再話の発展型に当たる、パラグラフ・ライティングの指導を進めていた(写真1)。この日は、スペインとマレーシアの人口や地理、教育制度をはじめとした国家の基本情報の一覧表を基に、両国をそれぞれ800字程度で紹介する文章を書くのが課題だ。
  授業の冒頭では、文章を四つの段落で構成し、1段落目には「国名・首都・人口・言語・宗教」、2段落目には「地理的な特徴」、3段落目には「学校」、4段落目には「その他」を書くように指示された。そして「まずは国家の全体像を伝えてから、細かい情報を盛り込んだ方がよい」などとパラグラフ・ライティングの要点に関する説明が続く。
写真1
写真1 パラグラフ・ライティングの授業。生徒は書き上げる間にも積極的に教師に質問を投げかけ、机間を回る教師がそれに答える。授業はチームティーチングで進められている
  合図と共に、生徒たちは迷いもなく書き始める。そのスピードは速く、多くの生徒が30分も経たないうちに1国の紹介文を書き上げた。休み時間を挟んだ2時間目にはほとんどの生徒が2か国の紹介文を書き終え、中には自主的に同じ内容の英文を書き始める生徒もいた(写真2)。
  授業後、分厚い原稿用紙の束を抱えた三森所長はこう話した。
  「次回の英語の授業では、日本に関する紹介文を英文で書く予定です。その際どのような内容や段落で構成するか、事前に英語の教師と話し合いました。今日は日本語でしたわけです。これで英語のパラグラフ・ライティングの練習にも無理なく移れるはずです」
写真2
写真2 パラグラフ・ライティングに取り組む生徒。段落を明確に意識して、一覧表の内容を文章にまとめている。合図と共に間を置かずにペンを走らせ、30分ほどで800字を書き上げた

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