生徒の大半は言語技術科を肯定的に受け止めている。アンケートでは80%近くの生徒が「言語技術を学習してよかった」と答えた。また、「ほかの授業で役立っているか」という質問には、約85%の生徒が「役立っている」と答えた。とりわけその成果が反映されているのが英語だ。
「以前は、英作文の添削をする前に文章の組み立てをチェックする膨大な時間が必要でした。それが今では文章の構成には問題が少なくなり、スペルや文法のチェックだけで済んでいます」(竹政校長)
言語技術科と英語科を兼任する江頭誠道先生も、「言語技術が身につくことで、英語の理解が促進されるのは確かです」と話す。また、国語だけでなく他教科の学習でも、文章を書くことに積極的になり、授業中の議論が活発になった。
だが、竹政校長がそうした変化以上に強く感じるのは日常生活や家庭での生徒の変化だ。
「きちんと根拠を説明して話すから、言い争いにならない。反論があれば、『そう言うけど、私はこう思うよ』などと、改めて根拠を提示するなど、日常生活でも『問答ゲーム』のように上手に話し合う生徒の姿が目立つようになりました」
今後の課題は、言語技術科を教える教師の育成だ。現在は三森所長とチームティーチングで授業を行いながら指導技術を磨いている。
今年で4年目を迎えた取り組みは、生徒の学びに向かう姿勢を大きく変えた。コミュニケーションの意識と手法を根本から考え直す活動はこれからも続いていくだろう。
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