教育現場の挑戦 小中連携で変わる中学校教育

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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小中連携事業で校内の研究授業も活性化

 小中連携を続ける中、上下学区では学校の枠を超えた一体感が生まれつつある。上下北、上下南の両小学校は英語活動の「小小」連携を始めた。年に70時間、35時間と両校の授業時数は違うが、中学校との接続を意識し、ラップを取り入れた教室英語やフォニックスの学習など活動内容の足並みをそろえつつある。
  また、小中の研究会などでは「授業見学では観察の視点を決めよう」「校内研修を『かけ橋の日』に入れよう」など、積極的に意見を交換するようになった。小中の教師が互いに学び合う雰囲気も生まれている。
  「小学校の先生は表情豊かに身振り手振りを交えて児童を引き付ける指導にたけていますし、中学校の先生は教科ごとに高い専門性を持っています。授業研究を通して長所を学び合いながら指導を改善しようという意識が出てきました。交流を重ねる中で、小中が互いを尊重し、共に子どもを育てようという機運が高まっていると思います」(佐々木教頭)
  小中連携の過程で、上下中学校では校内の授業研究も活発になった。
  「校内研修や授業の相互公開により、授業力そのものを高めていこうという意識が芽生えてきたと感じています。小学校は学級担任制なので国語や算数など特定の教科についても全校一丸となって研究できますが、中学校では特定の教科に絞った研究で足並みをそろえるのは難しいですよね。しかし、教科の違いはあっても、例えば『コミュニケーション能力の育成』や、『授業規律の確保』など、教科を超えて共有できる課題もあります。そうした視点から教師同士で意見を述べ合うことで、学校全体の授業力を向上させていきたいと考えています」(高浦校長)
  従来は学校全体で年1回するかしないかだった同校の授業研究は、06年度からは1人あたり2回は行うようになった。全校一斉に行う形態のほか、学年ごと、教科ごとなど形態を変えた授業研究も増えている。
  9年一貫のカリキュラム作成、小中一貫教育の施行と、小中連携事業はこれからが本番。今後の活動にますます注目したい。
▼図2 上下中学校区の広報誌「元気いっぱい上下っ子」 図2
「元気いっぱい上下っ子」と題された上下中学校区の広報紙は、生徒指導部会の会合から生まれた。各家庭に配付したり地域の広報板に掲示したりして、地域全体で子どもたちを見守る環境づくりに役立てている

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