学びが深まるIT活用 IT活用促進の鍵
富山県
富山市立上滝中学校

上滝中学校は、1947年創立。05年の市町村合併により、旧大山町から富山市になった。東に立山連峰を望む富山市大山地区にあり、周囲を豊かな自然に囲まれている。部活動のほか、冬季にはスキー競技が盛ん。

森本清隆

▲校長 森本清隆先生

生徒数◎344人
学級数◎10学級
〒930-1313
富山県富山市中滝160
TEL 076-483-1521
FAX 076-483-1522
http://www.tym.
ed.jp/sc249/

高田かおる

▲教務主任・英語科担当

高田かおる

Takada Kaoru


VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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富山県 富山市立上滝中学校

ITサポーターと教師の連携によりコミュニケーション力を育成

コンピュータを使った教科授業の学習効果に期待

 2005年4月、上滝中学校は7市町村の合併により富山市の学校になった。富山市教育委員会は、市内の小・中学校が「それぞれの目標を数値で表す」「外部評価を導入する」「目標や評価結果を公表する」という学校評価の取り組みを重点施策としており、上滝中学校も数値目標を設定することになった。
  そこで、上滝中学校がアンケートなどで生徒の現状把握をしたところ、基礎・基本の学力が十分に定着していないことがわかった。これを受け、06年度は「みんなで2006冊の本を読もう」「毎日の家庭学習に挑戦しよう(学年ごとに目標時間を設定)」といった行動目標を設定。指導についても「生徒1人ひとりの学ぶ意欲を高め、基礎・基本を確実に身に付ける工夫をする」という研修主題を掲げた。
  こうした流れの中で、ITを活用した学習効果への期待が高まっている。教務主任の高田かおる先生は、3年生英語の授業でコンピュータを利用した際、生徒が非常に意欲的に参加していると感じた。例えば「自己紹介」をテーマに授業をしたときのことだ(実録e授業参照)。
  「勉強や運動が苦手で、普段の授業ではあまり積極性が見られない生徒でも、インターネットや描画といったパソコン操作は非常に得意な子どもたちがいます。彼らは、この授業には大変意欲的に取り組んでいました。教師側から『まわりの人に教えてあげて』と働きかけたところ、操作が苦手な友だちをリードする場面も見られました」
  授業中に生徒同士が意見を見せ合うことができるのも、IT活用の利点だ。ノートなどの提出では、ほかの生徒の記入内容を見る機会はあまりないが、コンピュータのグループウエアを使うと、すべての生徒の意見を授業と同時進行で見ることができる。また、生徒がほかの生徒の意見や答えに触れることで、その教科が苦手な生徒がそれを糸口に答えることができたり、別の視点でのアプローチがあることを学んだりできる。つまり、生徒同士の学び合いが期待できるのだ。
  コンピュータを使った授業は、生徒を飽きさせないための「メリハリ」としても効果が高い。総じて、生徒たちはコンピュータを使う授業には積極的に参加する。これを利用し、定期テスト終了後、通常授業に戻る前のワンクッションとして実施することも多い。
  「前半10分でテストを返却し、次の10分でテストの解説をしたら、残りの時間はコンピュータを使って復習を兼ねたクイズを実施すると、皆、熱心に取り組みます」
  更に、高田先生は、人間関係を構築する能力の養成にもコンピュータを活用できるのではないかと感じている。
  「最近は他人とのコミュニケーションが苦手という生徒が増えています。そこで、コンピュータ学習で操作を教え合ったり、意見交換をしたりすることで、クラス全体の仲間と触れ合う機会をつくることができます。今後は、グループ単位で英文の交換日記などの活動も取り入れようかと考えています。これらのことがきっかけとなり、日常のコミュニケーションに発展し、よりよい人間関係づくりにつながっていくと思います」

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