学びが深まるIT活用 IT活用促進の鍵

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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サポーターとの連携がスムーズなIT導入を実現

 コンピュータの教科授業への導入について、設備は整っていても教師側のITスキルが不十分なため、実行に移せない学校も少なくない。このような学校にとって、上滝中学校の導入プロセスは大いに参考になるだろう。
  上滝中学校は、04年度にコンピュータ教室のパソコンを入れ替えたのに合わせ、校内LANなどのIT環境を充実させていた。しかし、なかなか教科の授業に活用しきれていなかった。そこで、ベネッセコーポレーションの「スクールイントラパック(以下SIP)」のオプションサービスの一環として派遣されたITサポーターが、まずは教師を対象にIT研修会を開催。教師にとって必要なのは高度なITスキルではなく、授業のアイデアを実現するための方法を知ることという認識を持ってもらった上で、具体的にどんな授業ができるのかを説明した。これがきっかけとなり、教科へのIT活用が広がり始めた。
  「まずは英語科で取り入れようということになりました。英語の教科書には『Eメールの書き方』『クリスマスカードを作ろう』など、活動的な要素が多く取り入れられているので、コンピュータを活用できる場面がたくさんあると思ったのです。それに、本校のALTがコンピュータに強いため、彼のサポートも期待できました」(高田先生)
  しかし、いくら高度なスキルは必要ないといっても、日々の授業準備に追われる教科担当の教師は、コンピュータの準備や操作にまで手が回らない、というのも本音だろう。そこで、準備段階から、教師とITサポーターがチームを組むことになった。
  例えば、コンピュータ教室で授業を行う場合は、1人がコンピュータ教室での準備をして、その間にもう1人が説明を行う。授業中の生徒の質問には2人で対応する。
  「生徒が少しでも長くコンピュータに触れられるよう、電源を入れるなどの準備は教師やITサポーターが行います。時々調子の悪いコンピュータの起動に時間がかかってしまうことなどもありますから。また、授業中は、授業内容に関する質問だけでなく、パソコンの操作に関する質問も出てくるので、1人で対応するのは大変です。2人態勢で授業に臨めるのは大きなメリットです」(高田先生)
  このほか、「総合的な学習の時間」にもコンピュータを取り入れている。
  「調べ学習やまとめ学習に、コンピュータは非常に便利です。当校では、05年度から修学旅行後のまとめに使っています」(森本清隆校長)
  具体的には、SIPの「みんなの広場」コーナーを利用し、班別行動で見学した場所について、生徒一人ひとりが感想を書き込んでいる。毎年、データを蓄積していけば、生徒の調べ学習に有用なデータベースとして活用できる。

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