研究授業終了後、全教師の参加のもと全体研修会が実施された。多くの場合、こうした研修会では、板書の仕方や、教具の使い方など、教師の指導技術に注目がいきがちである。だが、ここでは、あくまでも一人ひとりの生徒の「学び」に着目した反省が行われていた。
「ずっと手を挙げていたのに発言できなかった生徒がいた」
「もう少しでうまく答えを言えそうだった子がいたので、適切なフォローをすべきでなかったか」
「普段はあまり真面目に授業を受けない生徒が、今日の授業では前向きに課題に取り組んでいた。参加感を持たせる手法が参考になった」
などの発言が積極的に交わされていた。また、同校の授業改革に当初から関わり、今回もアドバイザーとして参加した首都大学東京の小国喜弘助教授からは「授業の目的が芭蕉自身の心情把握にあったのか、読解の多様性に気づかせることにあったのか不明確だった。いきなり芭蕉の心情把握に入る前に、中村草田男や齋藤茂吉の芭蕉に関する評論を読ませた上で、句の読解の多様性に気づかせることが先決でなかったか」との鋭い指摘もあった。
同校ではこうした研究会が頻繁に行われている。「学び合う共同体」づくりを目指した改革は、このような地道な実践の上に成り立っているのだ。
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