特集 「学びに向かう」生徒をどう育てるか?

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【課題整理】

「学びに向かう」生徒を育てる指導とは?

座談会でも指摘されたように、これからの中学生の学習指導においては、いかに学習に対する「能動性」を身につけさせるかが課題だ。中学3年間を通して学びを深め、高校入学後の学習に支障を来さないようにするために、次の三つを確認したい。

Point1

「達成感」を持たせる
学習目標・到達目標の明示

 生徒が「学びに向かう」意欲を持つために、前提となるのは「やればできる」という自信だ。小さな達成感を一つひとつ積み重ねていくことが「学びに向かう」意欲を育む土台となり、ひいては低学力層のドロップアウトを未然に防ぐことにもつながるはずだ。提出させた宿題にコメントを加えて返却する、少しの伸びでも努力の成果を認めて褒める、といった基本的な働きかけの意義を改めて見直したい。
  また、ただ漠然と「勉強しなさい」と言うだけではなく、明確な目標を与えて生徒を学習に向かわせることも重要だ。特に、自分で学習目標をうまく設定できない生徒は、自分の実力にちょうどよい課題が明確に意識できていないことが多い。「きみだったらこのくらいの課題にチャレンジしてもいいんじゃないか」といった丁寧な声かけや、14ページから紹介する小鹿野(おがの)町立小鹿野中学校のように、単元ごとの到達目標をプリントで明示するのも有効だ。

Point2
課題を見つける力を伸ばす

計画性の育成、学習方法の指導

 ある程度自信をつけてきた生徒に対しては、自ら課題を見つけ、計画的に学習する力をつけさせたい。「自分の弱点はどこか」「今日の授業でわからなかったのは何か」といった課題を自ら見つけ、計画的に取り組めるようになれば、予習中心型の学習へとステップアップできるだろう。は「出された宿題をきちんとする生徒」と、更にそれに加えて「授業で習ったことを自分でもっと詳しく調べる生徒」の学習行動の違いを示したものだ。計画性の有無が、学習行動に深く関わっていることが伺える。
  こうした学習姿勢は、単に課題を与え続けるだけでは身につかない。むしろ、やるべき課題自体を探求させるなど、課題の出し方そのものを工夫することが重要だ。次ページから紹介する鶴岡市立鶴岡第二中学校では、宿題以外の課題を自分で見つけて学習する「チャレンジャーノート」という取り組みを行っている。こうしたアプローチは有効だろう。
  また、近年は学習方法そのものをきちんと習得できていない生徒も多い。最初の授業をオリエンテーションに充て、教科ごとに学習の仕方を説明することも必要だろう。
図

Point3
保護者と課題を共有する
生徒を共に見守る仕組みづくり

 一方、こうした取り組みを学校だけで行おうとしても限界がある。生徒が落ち着いて家庭学習に取り組むためには、保護者の理解が欠かせない。学校としてどのような学習指導を行っているのか、保護者会や地域懇談会を通じて周知徹底したり、学期末に生徒の成績表や「家庭学習の記録」などを一緒に見ながら、課題を共有するのも一つの方法だ。更に、生徒向けのシラバスを家庭向けにアレンジして配付する、といった取り組みも有効だろう。
図

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