北九州工業地帯の中核、重化学工業の街として栄えてきた福岡県北九州市。近年は産業構造の変化に伴う人口の流出が続き、現在では100万人を割り込んでいる。
そこで、同市は産業都市、学術研究都市としての再生を目指す「北九州市ルネッサンス構想」を立ち上げ、数々の施策を打ち出した。この構想の教育分野部門別計画として、北九州市教育委員会(以下、市教委)が新たに策定したのが、「いきいき学びプラン(北九州市教育行政総合計画)」(2006~10年度)だ(図1)。施策の柱には、「たくましく健やかな子どもの育成」「市民の健康と生きがいづくりの支援」「学校・家庭・地域の教育力活性化」が掲げられている。
このプランは、02年度からの新教育課程や完全学校週5日制の導入、地域や家庭との協力態勢の必要性などを受けて、02年度から4年間に渡って取り組んだ「教育改革プラン」に続く計画だ。改革プランによる取り組みでは学力の向上や学習習慣の定着などの面で一定の成果を上げたが、改めて課題を整理し、更に改革を進めようというのが「いきいき学びプラン」の狙いだ。
市教委のプランには二つの特徴がある。一つは、目標を明確に設定していることだ。「体力テストの結果を全国平均」「学力検査の結果を全国平均以上」「小学生のコンピュータ操作力100%(注)」といった目標(図2)のほか、社会教育を含めて幅広い分野の数値目標を掲げている。計画内容は毎年度末に見直し、必要に応じて修正していく方針だ。
二つめは、市民や学校現場から広く意見を募ったことだ。教育長をはじめとする市教委幹部が学校現場を訪れ、現場の教師と意見交換を図る「スクールミーティング」を開催したほか、市政モニターへのアンケートなども実施した。それらの結果を施策に反映させている。
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