地方分権時代の教育行政 福岡県北九州市

概略

福岡県北九州市

九州の北東端に位置する人口約99万人の政令指定都市で北九州工業地帯の中心地。近年、「国際テクノロジー都市」に向けた街づくりを推進している。2006年3月には新北九州空港が開港した。公立小学校133校、公立中学校63校を擁する。

 

【北九州市教育委員会】

〒803-8510
福岡県北九州市小倉北区大手町1-1
TEL 093-582-2352
URL http://www.city.
kitakyushu.jp/pcp_portal/

堤 康二

▲北九州市教育委員会
学務部教職員課長

堤 康二

Tsutsumi Kouji

松下修祐

▲北九州市教育委員会
学務部教職員課教職員係長

松下修祐

Matsushita Shusuke

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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地方分権時代の教育行政
地方自治体の学校教育への新たな取り組み

福岡県北九州市

「ティーチャーズ・ネット」を立ち上げ
中学校教師の小・中間兼務を促進

市民や教育現場の意見を広く取り入れながら、教育改革を進めている北九州市。学校間の連携を強化する方策として、中学校教師の小・中学校間兼務を制度化した。トップダウン式で兼務を発令するのではなく、あくまでも現場のニーズを最優先に事業を進める同市の取り組みを紹介する。

広く市民の意見を取り入れ「いきいき学びプラン」を策定

 北九州工業地帯の中核、重化学工業の街として栄えてきた福岡県北九州市。近年は産業構造の変化に伴う人口の流出が続き、現在では100万人を割り込んでいる。
  そこで、同市は産業都市、学術研究都市としての再生を目指す「北九州市ルネッサンス構想」を立ち上げ、数々の施策を打ち出した。この構想の教育分野部門別計画として、北九州市教育委員会(以下、市教委)が新たに策定したのが、「いきいき学びプラン(北九州市教育行政総合計画)」(2006~10年度)だ(図1)。施策の柱には、「たくましく健やかな子どもの育成」「市民の健康と生きがいづくりの支援」「学校・家庭・地域の教育力活性化」が掲げられている。
  このプランは、02年度からの新教育課程や完全学校週5日制の導入、地域や家庭との協力態勢の必要性などを受けて、02年度から4年間に渡って取り組んだ「教育改革プラン」に続く計画だ。改革プランによる取り組みでは学力の向上や学習習慣の定着などの面で一定の成果を上げたが、改めて課題を整理し、更に改革を進めようというのが「いきいき学びプラン」の狙いだ。
  市教委のプランには二つの特徴がある。一つは、目標を明確に設定していることだ。「体力テストの結果を全国平均」「学力検査の結果を全国平均以上」「小学生のコンピュータ操作力100%()」といった目標(図2)のほか、社会教育を含めて幅広い分野の数値目標を掲げている。計画内容は毎年度末に見直し、必要に応じて修正していく方針だ。
  二つめは、市民や学校現場から広く意見を募ったことだ。教育長をはじめとする市教委幹部が学校現場を訪れ、現場の教師と意見交換を図る「スクールミーティング」を開催したほか、市政モニターへのアンケートなども実施した。それらの結果を施策に反映させている。

注:「コンピュータ操作力」とは、キーボードを使って文字を入力できる等の基本的な操作能力をいう
図1
図2

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