地方分権時代の教育行政 福岡県北九州市
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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教師の小・中学校間兼務が徐々に浸透する

 プランに基づく学校間の連携強化策の一つとして、01年度から始められたのが「ティーチャーズ・ネット」だ。教師の学校間兼務を推進するもので、兼務の形態には2種類がある。
  一つは、中学校間の兼務。小規模中学校での実技教科の免許外教科担任を解消するのが狙いだ。
  もう一つは、中学校の教師が小学校に出向いて授業を行う「小・中学校間の兼務」だ。小学校現場では、中学教師の専門的なスキルに対するニーズが高いと、堤康二教職員課長は話す。
  「教科指導について、中学校の教師はより専門的なスキルを持っています。それを生かして、より専門性の高い授業を小学生にしてもらうのが狙いです。例えば、中学校の美術科の教師が小学生に図画工作を教えれば、通常の小学校の授業ではできない知識や技術を伝えることができます。子どもたちも感動するでしょう」
  中学校の教師にとっても、小学校で教えることにはメリットがあると、松下修祐教職員係長は指摘する。
  「中学校の教師が小学生に接し、その現状を知ることで、『中1ギャップ』などの問題に対応しやすくなると考えています。実際、この兼務が行われているのは、同一中学校区内の小学校のケースがほとんどですから、中学校は新入生の状況を事前に把握できます」
  小・中学校間の兼務は、現場のニーズを最優先し、各学校間の話し合いからスタートする。まず小学校側が中学校に兼務を要請。当事者同士が直接話し合って日程や指導内容などを調整し、合意後、市教委から兼務発令書が届くという流れだ。年度途中でも実施が可能であり、現場のニーズに応じた柔軟な運用が可能だ。音楽や体育など実技教科の教師が兼務しているケースがほとんどだが、教科の制約はなく、理科や数学の場合もあるという。
  研究指定校は特に定めていないにもかかわらず、小・中学校間の兼務は徐々に浸透。05年度には、延べ42件が実施された。小学校側のニーズがいかに高いかがうかがえる。
  「地道な活動ですが、小・中学校の接続を改善する大きなきっかけになる取り組みです。これからも校長会などを通して活動を広げていきたいと考えています」(堤教職員課長)
  では、実際に中学校現場ではどのように小・中学校間兼務を進めているのだろうか。次ページから、北九州市立浅川中学校の取り組みを見てみよう。


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