地方分権時代の教育行政 福岡県北九州市
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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校区の小学校や地域、保護者との連携を深める

 06年度、浅川中学校の教師が小学校と兼務したのは、光貞小学校だけではない。校区の浅川小学校の依頼を受けて、保健体育の教師も小学校で授業を行っている。その背景には、浅川中学校が進める校区の小学校や地域社会との連携強化がある。
  きっかけは、浅川中学校、光貞小学校、浅川小学校の3校が05年度に北九州市の「児童生徒の心に響く道徳教育推進事業」の研究指定を受けたことだ。以来2年間、生命の尊重を中心にした小中9か年一貫の道徳カリキュラムづくりを進める中で、3校の教師全員が一堂に会した合同研修会をはじめ、中学校教師による小学校の道徳の授業見学などが実施された。このほか、3校合同で児童・生徒による地域の清掃や中学校教師による校区の見回りなども行っている。
  これらの活動には保護者や地域の協力が欠かせないが、学術都市という教育に関心の高い土地柄がさまざまな活動の礎になっている。例えば、在校生の保護者だけでなく、PTA役員OBや教師OBらによる「後援会」も、学校を支援する活動に参加している。
  また、市民向けの講座として「ひまわり学級」を開設するなど、地域との交流も盛んだ。校区の小学校、保護者、そして後援会と、地域ぐるみによる教育力の向上を今後も強化していく、と酒井校長は話す。
  「『ティーチャーズ・ネット』というシステムができてから、小・中学校間の交流が更に増えてきました。以前から毎年3月に小学校と中学校の連絡会がありますが、今ではそのときよりもはるかに多くの情報が小学校から入ってくるようになり、新入生の状況を把握しやすくなりました。これからも、小学校との連携、そして保護者や地域とのかかわりを深めていきたいと考えています」


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