特集 カリキュラムから考える小中連携

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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小中の段差をなくし学びに連続性のある授業に

 品川区の小学校と中学校の教師が共同でカリキュラムを作成した際に、ポイントの一つとしたのは、各教科におけるカリキュラムのなめらかな接続だ。
  中学校では、「なぜか生徒の理解度や定着度が低い単元や事項が存在する」ということがしばしば話題となる。理由を探ると、小学校と中学校のカリキュラムの接続がうまくいっていないケースが見受けられると、菅谷校長は説明する。
  「その一例が、理科の『燃焼』の単元です。小学校段階ではものが燃えることを確認し、そこに酸素が関係することを示すレベルにとどまりますが、中学校ではいきなり、『燃焼は化学反応の一種であり、形態だけでなく質量も変化する』と教えます。このような学習内容の段差が、燃焼の単元の定着率の低さにつながっていると考えられます。
  そこで、本校では、小学校段階の理科で、空気にもほかの物質と同様に重さがあることを学ぶ場面を取り入れています。これで、化学反応時には形だけでなく質量まで変わることが、中学校に入ってからスムーズに理解できるようになるのです」
  同様の配慮は、算数でも行われている。中学校で数学を学び始めたときに正の数、負の数でつまずかないよう、負の数の必要性を知り、正の数と負の数の意味を理解するための単元を、小学校段階で設けているのだ。
  このように、日野学園のカリキュラムは小中の教師が共に子どもの学習状況を把握し、課題解決に向けてつくり上げたものなのだ。

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