特集 カリキュラムから考える小中連携

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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共通の問題集の作成や指導方法の共有を推進

 以上のような課題を踏まえ、長山中学校はそれぞれ次のような取り組みを始めた。
1.小中共通の問題集を作成(算数・数学)
  算数・数学では、小1から中3までの各段階で何を身につけるべきかを小中の教師が共に検討し、それに基づいて、9年間で着実に力を積み上げられるように構成した、小中共通の問題集を作成した(図1)。「四則計算が弱い」「2つの小学校間で指導状況に差がある」といった小中共通の課題を踏まえて、問題を選んでいった。
  「この問題集を、復習、宿題、振り返り学習などで活用することで、小学校でのつまずきを中学校でフォローできるようになりました。例えば、一次関数が苦手な生徒の中には、実は、小学校の分数の計算でつまずいているようなケースも見られます。こうした場合には、小学校に遡って学習することが有効です」(教務主任・塚本博美先生)
2.指導方法の共有と出前授業(理科)
  理科では小中双方のカリキュラムを分析した結果、似たような内容を小中がバラバラの方法で教える単元があることがわかった。
  「例えば、気体の単元では、『気体の性質を調べる』というテーマは同じなのに、小中で実験法や使用する器具が違っていました。まずは、そうしたギャップを解消することに取り組みました」(若林先生)
  また、小学校教師の実験に対する苦手意識をなくそうと、若林先生を中心に、夏休みに実験の実技指導を行った
  さらに、中学校の教師が、小6生を対象に出前授業を実施した。中1の最初で学ぶ内容を扱い、入学直後のつまずきを防ぐと共に、中学校の授業の楽しさを伝えようと試みた。これは、入学への不安を取り除くことも狙っている。
▼図1 算数・数学の「ステップアップテスト問題集」
図1-1 図1-2 図1-3
小学校と中学校の教師が力を合わせて作った数学と算数の問題集。問題の作成を通じて、それぞれが算数の授業や数学の授業で何を教えているのかを理解するきっかけとなった

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