特集 カリキュラムから考える小中連携

福岡県  二丈町立二丈中学校

福岡県 二丈町立二丈中学校

福岡県の西端にある二丈町に1947年に開校。近年は漁業・農業中心から福岡市のベッドタウンへと変化しつつある。01年に「エコスクール」パイロット・モデル事業の認定を受けて、太陽光発電などの最新設備を備えた校舎に全面改築。

校長●三苫登美雄先生

生徒数●309名

学級数●9学級

所在地●〒819-1601 福岡県糸島郡二丈町大字深江1339-1

TEL●092-325-0020

FAX●092-325-2615

URL●http://www18.ocn
.ne.jp/‾nijojhs/


三苫登美雄

▲二丈町立二丈中学校校長

三苫登美雄
Mitoma Tomio
尾崎幸裕

▲二丈町立二丈中学校

尾崎幸裕
Ozaki Yukihiro
教務主任。技術担当。
吉永政博

▲二丈町立二丈中学校

吉永政博
Yoshinaga Masahiro
研究主任。数学担当。
米倉弘

▲二丈町立二丈中学校

米倉弘
Yonekura Hiroshi
3学年主任。英語担当。
*本文中のプロフィールはすべて取材時(07年3月)のものです
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【事例4】

「目標」を小中が連携して決め
総合学習を9年間系統的に行う

福岡県 二丈町立二丈中学校

「総合的な学習の時間」(以下、総合学習)については、小・中学校がまちまちの活動をしていたり、あるいはその逆に重複した活動をしてしまったりするケースがある。二丈町立二丈中学校は、小中連携によってその課題を解決しようとしている。

小中の活動内容をそろえ人材リストを作成

  二丈中学校が総合学習に取り組み始めたのは1998年度のこと。滑り出しは順調だったが、小学校の活動を詳細に把握していなかったため、講演会の講師が重複する、出身小学校によって指導の足並みが揃わないといった課題が次第に明らかになってきた。
  文部科学省から研究指定を受けたのは、ちょうどそんなときだった。03年度から2年間、「環境・職業・福祉を中心とした『総合的な学習の時間』の創造」を研究主題に、隣接する福岡県立糸島農業高校も加えた小中高の連携に取り組むことになったのだ。
  「高校とは技術指導や生徒同士の交流を中心に、小学校とはカリキュラムの連携を中心に進めることにしました」(吉永政博先生)
  小中連携のプランづくりの場となったのは「3校連携推進委員会」。メンバーは同校と深江小学校、一貴山(いきさん)小学校の教務主任・研究主任だ。月1回会合を開き、各校の指導方針、内容、課題などを出し合った。そして、小中の連携のために、2つの取り組みを実施した。
  1つめは、3校間の活動内容の調整だ。深江小学校は環境、一貴山小学校は福祉を中心に活動しており、中1時点での生徒の知識に大きな差があった。そこで、3校が歩み寄り、小学校では環境と福祉をバランスよく学ぶカリキュラムとし、中1で環境、中2で職業、中3で福祉を学ぶことにした。また、各学年での活動の狙いと内容も整理した図1)。
  「小学校で設定されていた目標が本校の目標とほぼ同じで、小学生にはハードルが高いものでした。そこで、各学年の系統性を考えながら内容を再整理したのです」(吉永先生)
  高度な活動は中学校へと送り、児童・生徒の発達段階に即したものにしたが、そこで教師が改めて実感したのが、「内容」ではなく「目標」を意識することの大切さだった。
  「目標を具体的にすると、各学年で子どもに考えてほしいことが見えてきます。小学生のときと同じ素材で学習するにしても、目標に応じた教え方の工夫ができ、学習としては繰り返しにはならないのです」(吉永先生)
  2つめは、3校の外部講師の履歴と連絡先を把握するための人材リストの共有化だ。それまでは、小中で同じ人に声をかけたり、逆に貴重な情報が1校だけにとどまったりしていた。リストの作成により学年の学習内容に合わせて、最適な人に最適なタイミングで協力を依頼できるようになった。
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図1

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