市が独自に採用した指導助手による習熟度別学習、民間からの校長登用など、先進的な教育施策をいち早く導入してきた宇都宮市は、2006年1月に、「うつのみや“いきいき学校”プラン」として学校教育推進計画を打ち出した。学校教育課の半田均課長は、その背景をこう語る。
「従来は、個々のさまざまな施策・事業が体系化されていなかったため、現状分析と課題の把握が十分にできていませんでした。また、市の教育施策が市民にわかりにくいのではないかという懸念もありました。そこで、市の教育施策を体系化し、10年後の宇都宮の学校教育の姿を描いたプランを立てたのです」
学校教育課・指導支援グループの高橋利和係長は、「宇都宮市は、地域を大切にし、地域から信頼される教育を目標としています。推進計画策定時にはさまざまな調査データや市民への意識調査などを参考にしました」と語る。
作成した「“いきいき学校”プラン」には、2つの基本方針と7つの基本目標が設定され、4つのプロジェクトが展開されている(図1)。このプランの特徴は、目標をできるだけ数値化したことだ。施策の柱ごとに方向性を決め、指標を設定した。例えば、「学ぶ意欲と、新たな時代を創造的に生きる力の育成」が施策の柱、それを展開する方向性が「一人ひとりに応じた学習指導」であれば、その指標を「学習内容定着度調査」での正答率とし、「国語の正答率8割以上の生徒(児童)を7割以上にする」というように、目標を数値化している。このような指標は、全部で22項目ある。また、それぞれの項目を達成するための施策や事業も、プランの中に盛り込まれている。
「目標を数値化したことにより、学校は対策を具体的に立てやすくなり、地域や保護者にとっては市の教育目標がわかりやすくなったと思います」(高橋係長) |