ベネッセの研究開発 小学校の英語教育事情
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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明日の教育を考える
ベネッセの研究開発

今回紹介する調査テーマ

小学校の英語教育事情

校区内の小学校が行う英語教育の内容を
きちんと把握するのが鍵

今や、公立小学校の9割以上が、何らかの形で英語教育を行うようになり、
教員研修や教材の提供、ALT(外国語指導助手)の加配などを、
本格的に行う自治体もある。こうした中、小学校における英語教育の実態を
把握する必要があると考え、ベネッセ教育研究開発センターでは、
小学校の教師にアンケート調査を実施した。

英語嫌いにならないよう工夫している小学校

 今回、ベネッセ教育研究開発センターが行った「小学校英語に関する基本調査」は、さまざまな側面から小学校英語について分析するため、「教員調査」と「保護者調査」によって構成している。本コーナーではこのうち「教員調査」の結果から、特に小学校への英語教育導入の論点の一つである「中学校との接続」という観点から報告する。
  まず、小学校での英語教育の実施状況について見てみよう。現在のところ、実に94.0%(図1)の小学校が、何らかの形で英語教育を行っている。学年ごとに見ても、8~9割以上で実施されているようだ。
  ただ、実施している年間時数を見ると(図2)、年間15時間未満(月1~2回程度)という学校が半数を超える。その一方で、年間35時間以上(週1回程度)という学校が、中・高学年では12~15%程ある。学校によって英語教育に充てる時数は大きく異なるようだ。
  次期学習指導要領の中では、小学5、6年生に週1時間(年間時数35時間)程度の英語教育の導入が検討されているが、現状では同程度の時数で英語教育を行っている学校は少ない。
  次に、小学校の英語の授業ではどのような活動をしているのだろうか。図3を見ると、「英語の音やリズムに触れたり、慣れたりする活動」や、「英語を聞いたり話したりする活動」を行う学校が多い。概ね、英語の音声に親しむことが中心となっているようだ。
  そもそも、小学校での英語教育の狙いは、英語に興味・関心を持たせ、コミュニケーション能力を育てることとしている場合が多い。そのため、多くの学校では英語を楽しませ、英語嫌いを育てないように、さまざまな工夫をしている。小学校教師による指導の工夫やアイデアの豊富さに、授業見学に訪れた中学校教師が驚くことも少なくないようだ。

図1
図2
図3

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