ベネッセの研究開発 小学校の英語教育事情
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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基準がないために学校によって差が大きい

 現在行われている小学校での英語教育は、学校によって質・量共にバラツキがあり、それが中学校の教師に不安を感じさせる原因になっているとの見方もある。ただ、今のところ、小学校の英語は、教科として学習指導要領の中に位置づけられていない以上、このバラツキはやむを得ないともいえる。
  中学校はそうした小学校の現状を踏まえ、まずは校区内の小学校が、どのような英語教育を、どれくらいの時間をかけて行っているのかを把握する必要があるだろう。小学校と情報交換をし、小学校から中学校へのより効果的で、現実的な英語教育の接続を検討することが大切だ。
  今後、小学校での英語教育が必修となれば、中学校での英語教育、更に高校、大学とトータルで英語教育を捉える必要が生まれ、中学校での英語教育の内容や方法についても見直さざるをえなくなる。
  教育内容の見直しは、一見、大変だと思うかもしれない。しかし、見方を変えれば、より一貫性のある英語教育を検討する良い機会といえる。小学校で培った英語に対する興味・関心をどのように中学校で生かしていくか、本格的に考えることが求められる。また、小学校段階で英語の音声活動の経験が増えれば、中学校での英語教育の負担が減るという見方もできる。
  現在の小学校では、指導者やカリキュラム、教材、予算など、英語教育を実際に行う上での課題が多く、中学校との接続・連携についても十分に検討できていないのが現状だ。国によるこれらの条件整備が急務であり、その上で、それぞれの学校段階の役割を明確にし、より一貫した英語教育を目指すことが必要だと考える。

福本優美子(英語教育研究室研究員)

第1回小学校英語に関する基本調査(教員調査)

◎公立小学校における現在の英語教育(活動)の実態把握と、小学校英語についての教師の意識を把握するために調査を実施した。

現在、小学校では一般に「英語活動」と言われているが、本調査では「英語教育」と表記している

 

第1回小学校英語に関する基本調査(教員調査)
概要

調査時期 2006年7~8月
調査対象 全国の公立小学校の教員(教務主任)3,503人(配布数1万通、回収率35.0%)。全国の公立小学校のリストより、無作為に1万校を抽出し、教務主任に回答を依頼


詳しい調査内容、報告書の入手方法は、こちらをご覧ください


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