指導変革の軌跡 スポーツクラブと部活動の連携で地域とのつながりを強化

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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部活動を母体として部活とクラブを一体運営

 こいずみ総合クラブには、中学生を中心とする「ジュニアクラブ」と地域の人が自由に参加できる「ふれあいクラブ」がある(図1)。クラブの核は、中学生を中心とするジュニアクラブ。軟式野球やサッカー、水泳、卓球、柔道など、現在16のクラブ(図2)があるが、すべて同校の部活動を母体として立ち上げられた。通常、総合型地域スポーツクラブでは、学校の部活動とは無関係に、あらかじめ複数のクラブを立ち上げ、クラブごとにそれぞれ参加者を募集するのが一般的だ。クラブと部活動の種目が違ったり、活動時間がずれたりすることは珍しくない。

図1

図2

 しかし、こいずみ総合クラブでは、そうした方法を採らず、原則的に中学校の部活動と同じ種目のクラブを設置し、17時までは部活動、それ以降はクラブでの活動という形で連続させた。実際、多治見市では03年度から、生徒がクラブにスムーズに移行できるよう17時以降は原則的に部活動が禁止となった。
 「クラブへの加入は、あくまで生徒の意思に任されます。種目も自由に選べますが、実際にはほとんどの生徒が部活動と同じ種目のクラブに加入しています」(松井紀史朗教頭)
 加入率は、06年度11月時点で1年生74%、2年生70%、3年生51%。4月に各クラブで1~2週間の体験入部期間を設け、希望者は親子で参加できる。学校は生徒の希望をとりまとめ、説明会は各クラブが個別に行う。
 実施日はクラブによって異なるが、平日については週2、3日。ただ、完全学校週5日制が発足のきっかけだったため、土日はすべてのクラブが活動する。大半のクラブが学校の施設を利用するため、部活動からクラブへの切り替えもスムーズだ。
 「ジュニアクラブ」は同校の生徒に限らず、中学生であればだれでも、クラブによっては小学生も参加できる。例えば、柔道部。多治見市内に柔道部があるのが同校だけという事情もあり、07年度は他校から1名、近隣の複数の小学校から5名がクラブに参加している。部活顧問とクラブの指導者を兼務する藤原巧先生は、「他校の生徒と切磋琢磨(せっさたくま)したり、同校の生徒が小学生を指導したりと、通常の部活動だけでは得がたい経験ができます。今後はもっと多くの生徒を呼び込んで、活動の輪を広げていきたい」と述べる。


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