指導変革の軌跡 スポーツクラブと部活動の連携で地域とのつながりを強化

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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地域主体のクラブ運営が世代を超えた絆を育む

 こいずみ総合クラブの設立は、同校にさまざまなメリットをもたらした。一つは、生徒の活動の幅が広がったことだ。部活動の枠組みだけでは中学校体育連盟主催の試合しか経験できないが、スポーツクラブの資格でなら、愛知や三重、静岡などに遠征して対外試合を行うこともでき、多様な経験を積むことができる。
 最も大きな成果は、クラブの活動を通して地域とのつながりが強化できたことだ。指導者や保護者との交流だけでなく、「ふれあいクラブ」主催のさまざまな催し物に、同校の生徒がボランティアで参加する機会も多い。学校外のさまざまな人たちと触れ合う機会が増えたことで、地域との一体感が生まれつつあるという
 「部活動とクラブが一体となって運営されることで、生徒を地域と一緒に育てていく体制が整ってきました。『ふれあいクラブ』に中学生が参加し、地域の高齢者と一緒に将棋を通じて交流している例もあります。こうした体験は生徒の成長にも重要ですから、地域との交流の輪を今後も広げていきたいですね」(岩田校長)
 生徒指導の面でも変化が見え始めている。
 「テニスクラブの試合を見たのですが、何よりも生徒たちのマナーの良さに驚かされました。きちんとした態度で挨拶やお礼を述べ、人の前を横切るときも『前を失礼します』と一声かけて通り過ぎる。ポイントを取られてもふてくされない。地域の人たちと協力して生徒に向き合ってきたことが、技術的な面だけでなく、躾の面でもしっかりと効果を発揮していることを感じました」(松井教頭)
 発足から4年が経ち、「ジュニアクラブ」もようやく軌道に乗ってきた。今後の課題は、「ふれあいクラブ」も含めて、活動の輪を広げることだと同校では考えている。
 「中学校時代に『ジュニアクラブ』に参加した子どもが大人になり、『ふれあいクラブ』で引き続き同じ種目を楽しむ。そして、その子どもが『ジュニアクラブ』で汗を流す。地元の学校をよりどころにサイクルが回ることが私たちの理想です。着実に一歩一歩進みたいと思っています」(岩田校長・水野さん)

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