保護者の協力を引き出すことも、クラブ活動を円滑に行う上で欠かせないポイントだ。同校では、万が一の事故に備えて、参加するすべての生徒を保険に加入させると共に、より安全を期すために、練習の際には最低1名、保護者に参加してもらうようにした。各クラブで当番制を敷き、1、2名の保護者が常に練習に付き添うほか、対外試合の際にも引率として参加する。
「クラブ活動の責任を指導者だけに負わせるようなことは、絶対に避けなければなりません。保護者にも責任を持ってクラブの運営に参加してもらうことで、指導者の負担を減らすと同時に、地域の交流を広げるきっかけにしたいと考えています」(水野さん)
だが、クラブの発足当初は、必ずしも協力的な保護者ばかりだったわけではない。「『なぜ自分たちがクラブの面倒を見なくてはならないのか』『子どものことは先生に任せておけばよい』という保護者もいました。しかし、スポーツに汗を流す子どもの姿を間近に見たり、保護者自身も一緒にスポーツに参加するうちに、そうした声はなくなりました」と丹羽さんは振り返る。
事実、保護者にとって、クラブ活動は子どもとコミュニケーションを取る良い機会になっているようだ。「練習、頑張ったね」「今日の試合は良かったね」など、会話のきっかけを得て喜ぶ保護者も多い。
「大切なのは、子どもを毎日見てあげること。常に見られていることで、練習に適度な緊張感が生まれ、生活態度もきちんとしてきます。保護者、教師、地域の人々が共に生徒を見守ることが、クラブを通してできるようになったと感謝しています」(松井教頭)
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