地方分権時代の教育行政 兵庫県神戸市


概略

兵庫県神戸市

人口150万人を超える政令指定都市。2006年に市営空港「神戸空港マリンエア」が開港した。教育施策に力を入れており、読解力育成教材を含む「分かる授業推進プラン」に関連して1億4000万円近い予算(06年度)を計上する。市立小学校169校、市立中学校83校。

 

【神戸市教育委員会】

〒650-8570
兵庫県神戸市中央区加納町6-5-1 TEL 078-322-6442
URL http://www.city.kobe.
jp/cityoffice/57/

後藤徹也

▲神戸市教育委員会
指導部(教育企画担当)主幹

後藤徹也

Gotou Tetsuya

藤田昌央

▲神戸市教育委員会
指導部指導課指導企画係
(教育企画担当)指導主事

藤田昌央

Fujita Masateru

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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地方分権時代の教育行政
地方自治体の学校教育への新たな取り組み

兵庫県神戸市

読解力を育成する独自教材を全国に先駆けて制作

長い文章を最後まで読めない、文章問題の意味を正確に読み取れない…。学力定着度調査などの結果から、小学生の読解力の低下が明らかになった神戸市。教育委員会は、その対策として独自に教材を開発、この4月から活用を始めた。

魅力ある教材で読解力を高める

 2007年春、神戸市立小学校の5、6年生全員に読解力育成教材が配られた。『ことばひろがる よみときブック』と題する冊子は、神戸市教育委員会(以下、市教委)が独自に制作した。5年生向け、6年生向けがあり、それぞれA4判で、72ページのオールカラー。ページを開くと、左に文章や資料(図、絵、グラフなど)があり、右の設問は読み取り・文章の要約・自分の考えを書くワークなど多彩な内容が並ぶ(下図)。週1時間を目安として、年間を通して「総合的な学習の時間」などで活用していく予定だ。
 独自教材を制作した背景には、読解力低下への危機感があった。神戸市が毎年実施する学力定着度調査の結果、読解力に課題があることが明らかになったのだ。指導部の後藤徹也主幹は、次のように話す。
 「読解力に課題があるといっても、それは国語の『読む力』だけではありませんでした。算数の文章題や、社会や理科の資料を読み取る力など、いわゆる『PISA型』の読解力にも課題があるとわかったのです。ただ、市販の教材にはこのような読解力の強化に適したものが見つかりませんでした。それなら独自に作ろう、ということになったのです」
 市教委の呼びかけの下、ワーキンググループに結集したのは、神戸市小学校教育研究会所属の教師や校長ら約30名。05年12月、ゼロからの教材作りがスタートした。

図

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