特集 つながる「保護者」と「学校」

福岡県  田川市立田川中学校

福岡県 田川市立田川中学校

筑豊炭田の中心地として知られる田川市に1947年開校。校区に市が開発中の学術研究都市周辺を含む。小・中学生が自分たちの願いを発信する「子どもシンポジウム」など、小学校との連携事業を積極的に推進する。

校長●井下雄次先生

児童数●114名

学級数●4学級(うち特別支援学級1学級)

所在地●〒825-0005 田川市大字糒1901-1

TEL●0947-44-1180

FAX●0947-44-5291


崎野一人

▲田川市立田川中学校

崎野一人
Sakino Kazuhito
2学年副担任
井上幸繁

▲田川市立田川中学校

井上幸繁
Inoue Yukishige
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【事例3】

「“新”家庭教育宣言」で家庭の教育力の底上げを図る

福岡県 田川市立田川中学校

田川中学校は、2005年度から家庭教育の役割を明文化した「“新”家庭教育宣言ノート」を軸に、保護者と連携した生徒の育成に取り組んでいる。小学校とも連携し、学校と家庭が一体となって、子どもを見守る意識を浸透させつつある。

小・中学校が連携して、家庭の教育力の向上に取り組む

 福岡県田川市は石炭産業の中心地として栄え、かつては住民のつながりが密接な地域だった。しかし、炭坑の閉鎖に伴い多くの住民が土地を離れ、アパートの建設が進み、ここ十数年間で地域のつながりも薄れていった。田川中学校の崎野一人先生は、地域の変化が子どもにも影響を与えてきたと語る。
 「炭坑の閉山以後、田川の産業の大きな変化は、家庭や子どもたちの生活に影響を与え、仕事の関係等から、子どもとかかわる時間が十分に取れない家庭も増えたようです。朝、起きられない生徒や、朝食を食べないで学校に来る生徒、学習に集中できない生徒の姿も目立ち始めました」
 そうした状況を受け、同校が2005年度からPTAと協力して取り組んでいるのが「“新”家庭教育宣言」だ。これは、学校と家庭が一体となった子どもの健全育成を目指す、福岡県PTA連合会主催の取り組みだ。PTA会長の井上幸繁氏は次のように話す。
 「田川市PTA連合会主催の04年の研修会で、睡眠不足や朝食抜きの生活が子どもの体調や学習に及ぼす影響について学びました。学校に実態を聞いたところ、子どもが夜更かしのため寝坊して朝食をとらない、親子の間で挨拶をしないなどの実態が明らかになりました。家庭の教育力の底上げに保護者も努力していくことが必要だと感じました」
 05年4月、小中の連携もできていたので校区の小中PTA役員で役員会を開催。事業の狙いや内容、方法について話し合い、「挨拶」を小中共同の取り組みとすることで合意した。また、中学校では保護者にアンケートを配付して、取り組むべき課題を聞いた。
 「保護者に取り組みを意識させると共に、アンケートに親子で答えることで会話のきっかけにしてほしかったそうです。05年度は最も多かった『自分のものは自分で片付ける』に重点的に取り組むことになったようです」(井上氏)

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