立て直しの原動力は、さまざまな研究指定を受けたことだ(図1)。それまでは「生徒指導に手いっぱいで、研究まではとても無理」という考えだったが、発想を転換し、「研究指定をきっかけに学校を変える」方針にしたのだ。
まず、新体制へと移行した98年度、岡山東警察署から2年間の「青少年を非行から守るパイロット地区」の指定を受けた。警察署管内で子どもを健全育成するという取り組みだが、ポイントは「学校を地域に開く」ということだった。
「それまでは学校丸抱えで生徒指導を続けてきたため、地域の人々は学校にどう手を差し伸べたらよいのかわからなかったようです。そこで、保護者や地域の方々も参加できるイベントを開き、学校のありのままの姿を見てもらおうと考えました」(森谷校長)
ジャズフェスティバル、県警音楽隊のドリル演奏、校区一斉クリーン作戦、パラリンピック代表選手の講演会…と、数えたら切りがないほどのイベントを実施した。イベントの実施にあたっては、地域の協力をあおぎ、教師や保護者らで結成した「協議会」が運営の中心となった。啓発広報部や環境浄化部など、6つの部の部長はあえて現役の保護者とせず、地域で存在感も実力もある40~50歳代の元PTA会長の方々にお願いした。「あの人がやるなら」と、地域が協力する雰囲気の醸成を狙った。
「イベントを開催することで、自然と学校の情報が外に出ていきます。当初は『学校が荒れるのは、教師の指導力の問題だ』と考えていた人たちにも、イベントに参加することで教師の頑張りや大変さをわかってもらえます。保護者や地域ができることは何か、少しずつ考えてもらえるようになっていきました」(森谷校長)
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