指導変革の軌跡 保育園から中学校までが連携し、地域ぐるみで学校の荒れをなくす

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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保育園、幼稚園との連携がスタート

 99年度から3年間は岡山県の「いきいきスクール支援事業」に指定された。これは、校区単位で学校・家庭・地域社会が連携を図りながら特色ある学校づくりを進める取り組みだ。同校の校区では、先の「協議会」を母体に保護者、地域、小・中学校の校長、幼稚園長、学識経験者らからなる「いきいきスクール推進委員会」を発足。土曜日の「ゆとりの時間」に地域の人が講師となって行う「ふれあい講座」、中学校教師が小学校で授業を行う「出前講座」などを行った。最も力を入れたのは生徒が自ら企画・運営する交通安全イベント「みどりの林檎」だ。
 「交通安全機器開発会社を営む地域の方の協力を得て実現しました。自分たちの力で大きなイベントをやり抜いた。そんな生徒の自信を、学校を変える一つのきっかけにしたかったのです」(森谷校長)
 幼稚園・保育園・小学校との連携が始まったのもこのころだ。きっかけは、99年春、校区の小学校の卒業式に出席した際、森谷校長がある地域の人から聞いた一言だった。
 「『あんなにいい子だったのに、中学生になったらどうして悪くなるのか』と言われたのです。これが地域の人々の意識なのかと思いました。中学校での問題の背景には小学校以前の課題があるのに、それがわかってもらえない。幼稚園や小学校と連携する必要性を痛感しました」
 そこで、幼稚園・保育園から同校まで岡輝校区6校園による、ゼロ歳児から15歳までの連携体制の確立に着手。特に力を入れたのは、岡輝版「子育て法」(図2)の作成だ。
 「本校の校区は就学支援家庭や母子・父子家庭の割合が高く、生活基盤が弱い家庭が少なくありません。多くの保護者に子育てに関心を持ってもらおうと、基本的な子育てや躾(しつけ)の方法を示した冊子を作ったのです」(森谷校長)
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図2

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