指導変革の軌跡 「特別支援チーム」を結成し、教師個人の力に頼らぬ生徒指導を実施

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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教師が異動しても同じ指導を続けられる体制に

 特別支援チームは発足して1年が経ち、さまざまな課題を抱える生徒を支援してきた。そこから見えてきた課題は二つある。一つは、メンバー構成だ。
 「できれば外部のアドバイザーとして医師に加わってほしいと考えています。拒食症など医療面での判断が迫られる課題を持つ生徒が出てきており、教師だけでは対応が難しいケースがあるのです。年2回だけでも来てもらいたいのですが、実現はなかなか難しい」(間邉校長)
 保護者をどうやって巻き込んでいくのかも、今後の鍵になると、間邉校長は考える。
 「特別支援チームの発展形として、地域の方や保護者も加わった組織をつくることが理想でしょう。実現は簡単ではありませんが、少なくとも外部に対して開かれた組織にしていくことが、これからの学校の在り方として大切だと考えています」(間邉校長)
 もう一つは、教師の異動などによってメンバーが入れ替わっても、変わらずに対応できる体制の確立だ。
 「生徒指導に定評のある教師が異動してしまうと、学校が荒れてしまうケースがあります。本校の体制はそうした課題を解決する一つの工夫です。特別支援チームをはじめとする本校の取り組みに予算がついているわけではありませんから、特別なことはできません。しかし、特定の教師の力だけに依存しない、教職員全員がかかわる仕組みづくりにこだわっていきたいのです。そのためには、今の体制をもっと強固なものにしていく必要があります」(間邉校長)
 間邉校長が赴任した05年度の初めのころは、十数人がたびたび授業を抜け出していた。しかし指導を続けたことで、同年秋にはほとんどの生徒が教室に戻っていった。そして、今では授業中に廊下や保健室で過ごす生徒はいない。卒業式に「校長先生、わがままばかり言ってごめんね」と話しかけてきた生徒に、間邉校長は「それを言うなら1年前に言ってくれよ」と笑って応えたという。
 担任の生徒指導を学校全体でバックアップしている六浦中学校。この取り組みは今後も進化を続けていくだろう。

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