授業時数増加の賛否、根底にある考えは同じ
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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VIEW'S RESEARCH

読者アンケートの結果から

授業時数増加の賛否
根底にある考えは同じ

新しい学習指導要領では、各学年で週1コマ程度の時数増となる。
この是非について、単純な賛否を超えた意見が寄せられた。

教育の質を考えて授業時数を決めるべき

 中央教育審議会の「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」に、授業時数の増加が明記された。基礎的・基本的な知識・技能の定着に加え、観察・実験やレポートの作成といった知識・技能を活用する学習を充実させるために、各学年で週1コマ程度の増加となる。
 それでは、教師はこうした動きに対して、どのように感じているのだろうか。今回は、授業時数の増加に対する賛否を尋ねた結果を紹介しよう。

図
調査概要 実施時期◎2007年7~8月/調査方 法◎全国の公立中学校約11,000校に対し、情報誌『VIEW21』に同送する形式でアンケート用紙を配付。郵送およびFAXにて回収/有効回答数◎549通

 に示したように、「賛成」という回答は4人に1人の割合だった。一方、「反対」「どちらともいえない」と回答した教師は、3~4割の間である。全体的に、授業時数の増加には「反対」する教師の方が多いことがわかる。それでは、どのような理由で反対しているのだろうか。
 自由記述からその理由を見ると、「量よりも質が大事」という意見が多い。「単に授業時数を増やせばよいというものではない。授業の質をどう改善していくのかをもっと論じるべきである」といった主張である。また、時数を増やすことの効果を認めつつ、学校週5日制の中で行うのは子どもや教師の負担が大きくなるという意見もある。
 「賛成」と回答している教師にも、条件つきのケースが多い。「時間を確保するために土曜日を復活させてほしい」「残業が増えないように教師の数を増やしてほしい」といった前提で、時数の増加に賛成する立場である。こうした見解は、「どちらともいえない」と回答する教師にもたくさん見られた。
 結局、「教育の質をもっと考えるべき」「量を増やすとしても環境や条件の整備をすべき」といった見方は、授業時数の増加に対する賛否を問わず、同じようだ。


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