明日から使えるICT講座

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▲講師 中川一史(ひとし)先生

独立行政法人メディア教育開発センター教授、金沢大教育学部客員教授(併任)。数多くの小・中学校で指導・助言を行っている。

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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新連載

明日から使えるICT講座:第1回 教材の提示

拡大や繰り返しが自在のICTで教材を効果的に提示

今回から4回に渡り、すぐに役立つICTの活用法をメディア教育開発センターの中川一史教授に紹介していただきます。
毎回、授業での具体的な利用場面を想定してそれぞれヒントをお伝えします。
第1回は「教材を提示する場面」です。

従来の教材と併用して生徒の意欲を刺激する

 コンピュータやインターネットなどに慣れない先生にとっては、今でも十分成立している授業に、ICT機器をわざわざ導入する意味を見いだしにくいのではないでしょうか。実際、ただ漫然と授業で使ってみるだけでは十分な効果を発揮できません。ICT機器の特徴を知り、授業の目的に沿った形で導入する必要があります。
 ICTを授業で使う際、最も手軽な「教材を提示する場面」を例に考えてみましょう。どのような目的があるときに、プロジェクターなどを使って画像や文字を拡大して生徒に見せると効果的なのでしょうか。それは次の4点に集約されます。
 (1)理解の補完・知識の定着
 (2)イメージや意欲の拡充
 (3)学び方の補完
 (4)視覚化による思考の深化

 どのような教科でも、教材を大きくして生徒に提示したい場面や、手順を繰り返し見せたい場面などがあるはずです。まずは、そうした場面から使ってみてはどうでしょう。最初は操作が少々煩わしく感じるかもしれませんが、実際に使ってみれば、導入する価値があることを実感できるはずです。
 ただ、必ずしもすべてをICT化しようとする必要はありません。冊子やプリントなど、今まで使っていたものの方が効果的だと思えば、そのまま使えばよいのです。ICTと紙をうまく併用しながら、生徒の意欲を刺激して、理解を深められる授業をつくっていきましょう。そういった工夫ができるか否かは、ICTスキルの有無とは関係ありません。「教科のスペシャリスト」としての教師の経験や視点が大切なのです。
活用度UP! ワンポイントアドバイス

持ち運び・準備に手間をかけない工夫を

 

 先生は授業のたびに教室を移動しますから、ICT機器もそのたびに移動させて準備をするとなると、手間も時間もかかります。そこで、あらかじめプロジェクターとパソコン、ビデオデッキなどの必要な機材をカートなどにひとまとめにしておくのです。そうすれば、教室にカートを運び、電源につないでスイッチを入れるだけですぐ使えます。授業のたびにケーブルなどを接続する必要がなくなり、もっと気軽にICT機器を使えるはずです。このカートを校舎の各階に1台ずつ設置しておけば、重い機材を持って階段を上り下りする必要もなくなるでしょう。

 


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