地方分権時代の教育行政 神奈川県横浜市
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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地区ごとに拠点をつくり分権の推進に向けて布石

 横浜版要領の周知徹底のため、市教委は全市的な研修を行うと共に、学校単位の研修に指導主事を派遣している。指導主事が学校現場との橋渡し役として足並みをそろえられるように、「全体指導主事会」を週1回実施。同市の指導主事106人全員が一堂に会してノウハウを共有する。
 「横浜版要領の中身を噛み砕いて正確に伝えるだけでは十分ではありません。授業づくり講座などをコーディネートして、具体的な授業のイメージを教師に伝えることこそが、指導主事の本務なのです」(齊藤主任指導主事)
 拠点となるのは、横浜市教育センター内に05年度に設置した「授業改善支援センター ハマ・アップ」だ。「授業づくり講座」「よろず相談」などを開くほか、書籍・資料を充実させ、年間延べ約8000人の教師が利用する。この「ハマ・アップ」の支局を08年度中に市内3か所に開設する予定だ。また、行政機能も兼ね備える「学校教育センター(仮称)」を市内4か所に設置することも検討している。いずれの施設も、政令指定都市への権限委譲の流れを視野に入れ、現場のより近くで学校を支援していくためのものである。
 これらの教育施策には予算の裏付けも欠かせない。各課の縦割りではなく、重点施策への予算獲得に向けて横の連携を強化している。服部課長は「市議会議員の方々には、言葉で必要性を説明するだけでなく、学校現場の様子を実感してもらうために実際に訪れてもらうことも考えています」と話す。
 団塊世代の大量退職に伴い、ここ数年、毎年約1000人の教師を採用している横浜市では、学校現場の若返りが急速に進んでいる。カリキュラムの編成・運営・評価・改善のPDCAサイクルを、各校がしっかりマネジメントしていける体制をいかに整えていくか。「新学習指導要領の全面実施までの3、4年間の施策が今後を左右する」と市教委は考えている
 「5年後、10年後を見越して、ベテラン教師が退職したあともカリキュラムマネジメントができるチーム力や授業力を高めていきたいと考えています」(服部課長)


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