地方分権時代の教育行政 愛知県名古屋市


概略

■愛知県名古屋市

人口約224万人の政令指定都市で、16の行政区を抱える。市政全体の長期総合計画「名古屋新世紀計画2010」に合わせて、2010年を最終年度とする中期計画「なごやっ子教育推進計画」を策定。「夢に向かって人生をきり拓(ひら)くなごやっ子」をテーマに、学校・家庭・地域の環の確立を目指す。市立小学校262校、市立中学校110校。

 

【名古屋市教育委員会】

〒460-8508
名古屋市中区三の丸3-1-1
TEL:052-972-3235(指導室)
URL http://www.city.nagoya.jp
/shisei/organization/kyouiku/

内藤典子

▲名古屋市教育委員会
学校教育部指導室指導主事

内藤典子

Naito Noriko

加藤幸雄

▲名古屋市教育委員会
学校教育部指導室指導主事

加藤幸雄

Kato Yukio

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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地方分権時代の教育行政
地方自治体の学校教育への新たな取り組み

愛知県名古屋市

地域との連携を深める
生徒の自主活動を支援

学校や家庭、地域を取り巻く環境の変化に対応すべく、名古屋市は初めての中期計画「なごやっ子教育推進計画」を策定した。郷土への愛着心を育てると共に、世界にも目を向けた広い視野を育てていくことを目標の一つに掲げ、生徒主体の取り組みや地域ぐるみで行う学校づくりを支援する。

初の中期計画「なごやっ子教育推進計画」

 2007年、名古屋市教育委員会(以下、市教委)は、10年度を計画最終年度とする4年間の中期計画「なごやっ子教育推進計画」を策定した。それまでは単年度で計画をまとめており、中期計画策定は市教委にとって初の試みだ。また、この計画は、子どもとの距離が一番近い行政機関である市が教育の責任と権限を持つ、という姿勢を明確に示したものでもある。
 背景は二つある。一つは、当時の安倍内閣の下、教育改革論議が活発になると共に、地方分権推進の動きが強まったこと。もう一つは、学校や家庭、地域を取り巻く環境の大きな変化に対し、短期的な視点だけでは対応できないという問題意識だ。
 同市の中学校教育の現状を見ると、学力調査の結果は全国平均を上回り、学力面で深刻な課題はない。一方、生徒の積極性や自主性の低さや不登校生徒の増加、体験活動の減少、外国人生徒や帰国生の増加による多文化共生社会への対応といった、全国共通の課題はある。
 こうした状況を踏まえ、市教委では、主体的に学ぶ姿勢づくりや生徒指導の観点から、生徒の積極性を育む取り組みを重点的に進めている。
図 「なごやっ子教育推進計画」の基本方針
図

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