研究の二つ目の柱である「家庭学習・生活習慣の改善・向上」の取り組みでは、1・2年生で「1ページノート」を行っている。毎日、家庭でノート1ページ分以上の学習をし、翌朝、担任に提出する。学習内容は、教科書の練習問題や市販のドリルなど何でもよい。提出できなかった生徒には昼休みに取り組ませ、必ず提出するように徹底した。3年生には、漢字・計算・英単語に順番に取り組む「わんぷり」という1ページのプリントを毎日配付し、翌朝、学級担任が点検している。
取り組みの一環として、食育にも力を入れている。通常は給食だが、学期に1回、生徒が自分で作った弁当を持参する「弁当の日」はその一例だ。
「生徒自身の食への関心を高めるのがねらいです。ただ、単に家庭の協力を仰いでもうまくいかないと考え、最初はPTAの活動として浸透させていきました」(三宅先生)
生徒は弁当作りの大変さを経験し、毎日食事を作ってくれる保護者への感謝の言葉を口にするようになった。保護者からは「親子の会話の糸口になった」との声も寄せられる。
このような活動を通じ、保護者の学校を見る目が変わってきたようだと三宅先生は話す。
「取り組みの成果を保護者も感じるようになり、保護者の間に学校の姿勢に賛同する雰囲気が出来てきたと思います」
成果は生徒の学力にも表れている。07年度の1年生の学力は入学時点で県平均のプラス10.8点だったが、2年生の4月には県平均を21.7点上回った。嘉多山先生は「英語の基本文や単語テストの時、半分書いてあきらめてしまうような生徒が最後まで書こうとする態度も見られるようになりました」と話す。
09年度は、新学習指導要領の移行措置によって1年生の数学の授業が週1コマ増えたため、1年生のモジュール学習は行っていない。ただ1年生時にモジュール学習に慣れ親しんだ現3年生の要望に応え、嘉多山先生は英語のモジュールブックを作り続けている。基本文や単語が簡潔にまとまっているため、特に成績下位層に欠かせない教材になっている。
2年生の理科と数学では、09年度もモジュール学習を続けている。三宅先生は「2年生で75分授業を導入すると、学力が伸びやすいことが分かったからです。1年生で座学中心の授業で身に付けた知識をいかに活用するか、実験を通して学ぶ2年生で75分授業を取り入れることに意味があるのです」と強調する。
梅林中学校では、授業時数の確保といった目先の課題ではなく、家庭生活を含めた生徒の課題を総合的に見つめ直した。この取り組みは教育課程編成の際のヒントになるだろう。
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