特集 移行期間の課題と対策
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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気軽に意見を出し合う30分の授業検討会

 授業公開を行った日の放課後には、「私の授業、どうだい?」という意味で「授業問題(じゅぎょうどうだい)」と呼ばれる授業検討会を開く。07年度からは、教師1人当たり年3回、授業を参観して検討会に参加する決まりにした。1回の授業公開を参観するのは通常4~5人で、検討会に集まるのも数人程度。空きスペースを見つけて、お茶を飲みながら30分ほど意見を交わす。堅苦しさは全く感じられないと、神部先生は話す。
 「生徒にどのようにしてやる気を出させるのか、授業に引き込むのか、他の教師の授業は参考になることばかりです。例えば、私は教科書を持ち込んでもよい小テストを行っていますが、これは他の先生の授業を見て取り入れたものです」
 指導方法の落とし穴を発見できることもある。例えば、社会科担当の教師は次のような授業を公開した。生徒に家にある伝統的な物(違い棚など)を写真に撮らせ、学校のメールアドレスに送ってもらった。それを授業中にプロジェクターで取り上げたのだ。検討会に参加した教師はこの手法に興味を持ったが、個人情報である生徒のメールアドレスの管理をどうするかが議論になったという。
 放課後に予定があり、授業公開当日に検討会を行えないこともある。その場合は、2~3人分の授業公開が終わった後、まとめて検討会を開く。授業を見学したが検討会には参加できない場合は、メモを書き残しておく「メモ出席」という形にしている。当初は白紙にメモを書いていたが、それでは書き込むポイントがぼやけるため、「授業公開メモ」のフォームを改良。「見つけた!○○先生の指導技術」「これ、いただきます!」などの項目を設定し、具体的なコメントを記入できるようにした(前ページ図1)。書いたメモは授業をした教師に渡し、個別に意見交換をしている。
 「第三者からは、検討会は単なる雑談に見えるかも知れません。しかし、学年や教科の垣根を越えて、教師が互いに授業を見せ合い、話し合える関係をつくる大切な場になっています」(高木先生)

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