第一に家庭学習を、学力向上策全体の中でどのように位置付けるかを検討します。例えば、学力テストなどによるデータが活用出来ます。調査結果から、自校の生徒にはどのような力が欠けているのか、もっと伸ばしたい力は何かを見定めた上で、課題解決のために家庭学習をどう活用するかを検討します。
第二に校内の推進体制を整えていきます。すぐにすべての先生が足並みをそろえることは難しいと思いますから、例えば、特に気になる学年の1つか2つの教科から家庭学習指導を始めます。ある学年の英語を2人の先生が担当しているなら、この2人が話し合って、1年間、家庭学習と関連付けた授業を構成してみます。一定の成果が見られたら、そのノウハウを他の先生と共有し、学年全体、学校全体へと広げていきます。
ここでのポイントは、まず学校が「本校ではお子さんの学力向上に向けて、家庭学習についてもこのような努力をしています」という姿勢を明確にすることです。いきなり「家庭学習の手引き」を家庭に配布し、一方的に支援を求めても納得してもらえません。次の段階に向けて、保護者が協力しようとする機運を高めておくことが大切です。
第3段階として、自校の特性を踏まえた方法で、家庭や地域社会に対して協力を依頼します。例えば、保護者によっては、学校と保護者との間で約束を取り交わすマニフェスト(*3)的な方法が効果を発揮する場合があります。「本校は子どもにこういう力を付けるために、こういう取り組みを重点的に頑張ります。途中の状況や成果を示しますから、それを基に、きちんと厳しく評価してください。その代わり、家庭学習ではこういう支援をしてください」と、保護者に積極的な関与をお願いするスタイルです。実際、保護者の教育意識が高いあまり厳しい苦言に直面していた学校が、この方法で働きかけたところ、学校評価アンケートで保護者の反応が変わり、保護者の協力を得る一歩を踏み出せました。
初めに学校が多くを抱え込む方がよい状況の地域では、保護者に支援を求める前に、学習ボランティアらの地域基盤を生かしたコミュニティをつくる方が現実的かもしれません。その場合でも、保護者に説明し一定の納得を引き出す工夫が必要な点は同じです。
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