特集 家庭学習─机に向かう習慣づくり
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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週の初めに1週間分の宿題を提示

 宿題を出してから提出させるまでの基本サイクルは、1日ではなく1週間単位だ(図1)。週の初めに、各教科が「今週の宿題はこれ」と学年で同一の宿題をまとめて出している。その理由を、倉橋校長は次のように説明する。
 「1日単位では、時間割によってたくさんの宿題が出る日とそうでない日のばらつきが生じます。1週間単位にすれば、特定の日に集中することがなく、生徒の勉強のリズムも一定に保ちやすくなります。教師も、授業中に残した部分について『次回までにして来るように』と臨時で課すことはしません」
図1:1週間の宿題サイクル
 宿題の量を調整しやすくするための工夫も凝らす。教師は、学年・教科ごとに、その週の宿題を小さなホワイトボードに書き、それを職員室前の廊下に掲示している写真1)。これを見れば、他教科がどれくらいの宿題を課しているのかが一目瞭然だ。当初は、各教科の教師が教室ごとに宿題の内容を書き、掲示していたが、負担が大きかったため、現在の形に落ち着いたという。
 宿題の量の目安は、成績中位層が1日1~2時間でできる程度。1教科当たりでは1週間分が2~3時間で終わる量となる。ある教師は、「多くの宿題を出そうとする教科があると、他教科の教師から指摘があります。これを繰り返すことによって、各教科が宿題の量をどれくらいにすればバランスが取れるのかをつかみ、自然と調整できるようになりました」と言う。
写真1
写真1 職員室前の廊下の黒板には、各学年・各教科のその週の宿題を、ホワイトボードに書いて掲示している。教師はそれぞれ、宿題の内容を記入する
 各教科が宿題を出すのは毎週月曜日か火曜日が多く、その後、教師は生徒の進み具合を確認していく。
 最初の区切りは、毎週金曜日の6時間目「基礎強化」だ。これは学校裁量の時間として5教科の自主学習を全学年一斉に行うもの。今週は国語、翌週は数学……と5週間を1単位として、生徒各自が習熟度別プリントなどをこなす。同時に、学級担任は宿題の進み具合を一斉点検し、終わっていない生徒には、その時間内に宿題に取り組ませる
 それでも終わらない生徒は、更に「土曜チャレンジスクール」で取り組ませる。尼崎市が全市立中学校を対象に実施する独自事業で、費用は無料。毎週土曜日に大学生を中心とする指導員が中学生に勉強を教えるという取り組みだ。毎年5月に希望者を募り、登録した生徒は1年間に渡って参加する。教師は、生徒の宿題進捗状況を指導員に伝え、まだ終わっていない生徒をフォローしてもらう
 週が明けて月曜か火曜の提出日になっても、まだ宿題が終わらない生徒が出てくる。その場合は、放課後に校内の空き教室を使って最後まで取り組ませる。倉橋校長は、「生徒には、宿題は必ず取り組むものだと理解させ、当たり前のことを最後までやり遂げる粘り強さを身に付けてほしいのです」と話す。

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