課題にフォーカス
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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合宿訓練と運動朝会で基礎を築く

 「心と体を一体としてとらえさせる」指導の一つ目の柱は、新入生を対象に入学直後に行う2泊3日の合宿訓練だ。食育などを通して生活習慣と体力の関係を考えさせると共に、集団の規範を理解させ、中学生としての自覚を持たせることを目的としている。合宿中は、あいさつの練習で礼儀を学び、発声や校歌の練習で心を開かせ、集合整列などを通して集団生活での規律を身に付けさせていく。合宿での訓練は、日常生活のあらゆる場面、例えばホームルームや部活動などでも土台になるものだという。
 「合宿訓練は『体力づくり』を含めた中学校生活の心構えを持たせるために行います。ほとんどの生徒が同じ小学校出身なので、仲良し感覚のまま中学校に進学します。中学校生活を始めるに当たり、あらゆることの基礎となる礼儀やあいさつ、集団生活での規律などを徹底して指導することで、生徒は、これまでとの違いを認識します。それが、小学生から『中学生』になる第一歩なのです」(河野俊治校長) 
 取り組みの二つ目の柱は、「運動朝会」だ。週2回、朝の15分を使って全校生徒が一斉に体を動かす。内容は、学校近郊の起伏のあるマラソンコースを2キロ走るなど、かなり充実している(図3)。1年生は、慣れないうちは筋肉痛に悲鳴を上げることになる。
 「体力には個人差があり、運動が苦手な生徒もいます。だからといって、逃げ出す生徒はいません。例えば腕立て伏せが出来なければ、『膝を着いてもいいよ』という指導をしています。何よりみんなで元気に声を出してやるからこそ、運動が苦手な生徒も頑張ってついていこうとするようです」(沖山先生)

図3:運動朝会のメニュー

 5月後半にもなれば、運動が得意な生徒も苦手な生徒も、それぞれ確実に体力の向上を実感するようになるという。自分自身の成長が励みになり、更に意欲が出るのだ。
 意欲の向上は、「生活ノート」にも見てとれる。毎日の生活で感じたことを記録し、担任に提出するノートだが、特に1年生は「壁倒立が出来るようになった」「筋肉痛にならなくなった」など、体力づくりに関することを書く生徒が多いという。日々自分の体力が向上していくことに、達成感があるようだ。
 運動朝会は週2回、わずか15分の取り組みだが、3年間継続することで、生徒の体力は格段に向上する。同校の伝統である「1分間の壁倒立」は、入学直後の1年生では出来ない生徒が約半数を占めるが、3年生になる頃にはほとんどの生徒が出来るようになっているという。


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