課題にフォーカス
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 5/7 前ページ 次ページ

全国平均と比較し生徒の意欲を喚起

 取り組みの成果を客観的に把握するため、同校では、毎年4~5月に文部科学省が実施する「新体力テスト」も活用している。握力、上体起こし、持久走、50m走など8種目のテストを行う。生徒たちは、新体力テストの成績によって自身の状態を把握することが出来、体力づくりの目標設定が出来る。前年より判定が上がれば大きな励みにもなる。沖山先生は、次のように語る。
 「08年度は、男女共に全種目で全国平均を上回っています。3年生は、全体の8割以上がB判定以上という好成績をマーク出来ました。新体力テストの成績から、教師も生徒も体力づくりのための一連の取り組みが成果を上げていることを実感することが出来、意欲につながっています」
 同校では、生徒個人に目標を持たせるだけではなく、学校として「日本一」という大きな目標も掲げている。02年から「毎日カップ中学校体力つくりコンテスト」()に応募し、毎年、入賞を果たしている。05年には文部科学大臣奨励賞、06年には文部科学大臣賞を受賞し、2年連続で日本一という好成績を収めた。「小さい学校ですから、『日本一』の称号は生徒にとって大きな励みになっています」(河野校長)
 ここしばらくは「優秀賞・優良賞」にとどまっているため、日本一に返り咲くことを目標に、「体育健康委員会」の生徒が率先して他の生徒を引っ張っているという。運動朝会では、委員は前に出て声を掛けたり、出来ていない生徒を積極的にサポートしたりするなど、生徒が一丸となって頑張っている。また、新体力テストの結果を活用し、全国平均数値を下回る種目を中心として強化を図っている。例えば、握力の成績が課題となった年は、帰りのホームルームで全員が握力強化運動をするなど、短い時間で出来るトレーニングを行って補強している。
 「授業後に毎日取り組むのは、確かに教師も生徒もエネルギーを使いますが、何もしなければ何も変わりません。成果を上げるためには、少しの時間でも有効に使う意識が大切です」と、沖山先生は語る。ホームルームの限られた時間を有効活用するためには、生徒が機敏に効率よく動けることが必須である。同校が集団行動の規律を徹底しているからこそ出来るのだろう。



(*)成長期の中学生の健康・体力づくりに意欲的に取り組み、「生きる力」の育成に成果を上げている中学校を表彰するコンテスト
(毎日新聞社主催、文部科学省ほか後援)

   PAGE 5/7 前ページ 次ページ