課題にフォーカス
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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体力づくりは心を磨き気力・活力を育む

 体力づくりの成果に比例して、生徒が日常のさまざまな活動に対しても意欲的になったことがうかがえる。例えば、同校は校内の緑化に取り組んでいるが、水やりや草むしりなどの作業も、積極的に動き、責任を持って行う姿が見られるという。
 「本校には、生活面で目立った問題行動はありません。『当たり前の生活規律』を徹底することで、生徒は自ら判断して迅速に動きます。本校では判断力・時間管理能力を高めるために、『ノーチャイム・5分前行動』を行っています。本校ではチャイムが一切鳴りませんので、生徒は時計を見て自ら着席し、授業を受ける態勢を整えています。体力づくりで育まれた気力・活力が、生活のあらゆる場面での生徒のやる気を高めているのだと思います」(沖山先生)
 生徒のモチベーションを維持させるためには、教師の声掛けの役割も大きい。生徒の日々のやる気に応えるために、褒めるべきところはすぐ褒めるようにしているという。「積極性」や「責任感」などの心の成長は、体力のように数値では測れない。だからこそ、少しの変化でも認めるという細かな目配りも怠らないことが、生徒の意欲を高めるために重要なのだ。
 教師からの働き掛けだけでなく、生徒たち相互で意識を高めさせたことも、同校の大きな特徴といえる。1年生から3年生の縦割りで、運動朝会などの活動を行ったことが効果的だった。
 「運動朝会は縦割りの班で行い、上級生が下級生に手本を見せたり、助けたりしながら進めています。先輩が後輩を育てるという意識を持たせることで、先輩である2、3年生に自己肯定感や自尊感情が育まれます。実際、彼らは『1年生の手本になるんだ』と奮起します。1年生は、運動が苦手でも辛抱してこつこつ積み重ねれば、先輩たちのようになれると思い、頑張ることが出来る。同時に、上下関係を学び、先輩に対する接し方を学ぶ良い機会にもなります。掃除や運動会なども縦割りでの活動を基本にしていますし、年度初めのホームルームで発声練習や歌の練習を行う際は、1年生のホームルームに3年生が出席して指導しています」(河野校長)
 縦割りの班での活動により上級生はリーダーとしての自覚が芽生え、下級生はその姿を見て自分を鼓舞するという相乗効果が生まれている。


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