特集 新課程対応─時数確保のひと工夫

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 8/30 前ページ 次ページ

[3]教師に事前相談し、校務分掌を決定

校務公平化の姿勢が教師の意欲を生む

 教科による持ち時間の差から生じる教師の不公平感を解消するため、09年度は、校務分掌や担任の有無といった役割分担案を各教師に事前に公開し、相談する体制をつくった。
 09年3月、次年度の体制について教務主任が一次案を個々の教師に相談した。特に負担が大きくなりそうな教師には、更にその前段階でも案を見せた。各教師の要望を踏まえ、教務主任が最終案を調整。管理職には適宜報告する。検討の主体は授業を持つ教師であり、最終結果は全教師で確認し合った。
 こうした結果、09年度の体制に教師から不満は一切出なかったという。今井先生は、「不均衡を完全に是正することは難しい。ただ、相談という過程を踏み教師が互いの負担を把握することで、校務に前向きに取り組み、協力し合う雰囲気が生まれました」と話す。
 例えば、「総合的な学習の時間」(以下総合学習)を担当しない教師が「もっと生徒とかかわりたい」と自主的にチームティーチング(以下TT)に加わることがあった。その教師にとって総合学習は、時間割には自分の名前が担当として書かれていても、正式な持ち時間にはならない。総合学習におけるTTの実施率は、09年の1学期だけで99.7%に上った。「予定外」のTTの実現で、授業の質の向上も期待出来る。
 「どの先生も、生徒をもっと伸ばしたい、深くかかわりたいという気持ちが、時数外でも快く引き受けたり限られた時間を有効に使う方法を考えたりする原動力になっています。そうした努力が、生徒の成長や我々に見せる笑顔によって報われ、保護者の支援も得られ、教師が更に頑張る、という良い循環を生み出していると思います」(鈴木先生)


   PAGE 8/30 前ページ 次ページ