特集 新課程対応─時数確保のひと工夫
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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[2]行事はカットせず、合唱練習は課外活動に

生徒と保護者のため、学校行事は維持

 同校は今後もこれまで通り行事を継続する方針を明確にした。もともと学校行事が盛んで、特に陸上競技記録会、クロスカントリー大会といった体育系の行事が他校よりも多い。保護者もこうした行事への思い入れが強く、沿道での誘導などの支援を惜しまない。生徒にとってかけがえのない思い出をつくり、たくましく生きる力を育むため、また保護者の期待に応え、信頼関係を維持するためにも、行事を削減すべきではないと判断した。
 毎朝10分間の読書(教育課程外)では、図書館の図書だけでなく、備品管理がより容易な学級文庫の図書がよく使われる。学級文庫は、最低限の利用マナーを守れば、生徒が長期間自宅に持ち帰ることも許可。意図せず汚しても大目に見られるため、結果として「読書好き」を増やす重要な役割を担っている。
 「昼休みに読書をする生徒が増えたことを学校便りなどで紹介すると、それを知った保護者が更に図書を寄贈するなどの支援をしてくれます。生徒の力を伸ばすためにも、保護者との良い関係を継続させることをとても重視しています」(吉川先生)

合唱練習は授業時数に数えない

 文化祭の準備として年間1、2コマ分行う合唱練習は、授業時数に数えていない。音楽の時間に本来指導すべき内容を教えられず、授業の質を落とす恐れがあると考えているからだ。「時数の確保を考えれば、行事を減らしたり授業時数に組み込んだりした方が楽です。でも、『数合わせ』ばかり気にして指導の質を落としたくない。先生方は本校の教師としての使命感や保護者の支援や期待を受けて、必死に頑張っているのだと思います」と鈴木先生は話す。


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