キャリア教育の中心的な活動として、多くの中学校が職場体験を実施している。 職場体験を一過性のイベントに終わらせずに、より効果的な取り組みとするには どのような工夫があるのかを紹介する
全日本中学校長会教育研究部の調査によると、職場体験は2日以上で実施している学校が多く(図1)、実施上の課題には「受け入れ事業所数の拡大の方法」と「受け入れ事業所の業種の多様化」が上位に挙げられた(図2)。学校規模別で見ると、規模が大きいほど「受け入れ事業所数」が課題になり、規模が小さいほど「業種の多様化」が課題という傾向にある。職場体験は、事業所の協力なくしては実施出来ない。地域の理解を得ることが重要になる。
一方、進路指導を行う上での担任の悩みは、「保護者の進路指導に対する期待が進路先の選択やその合格可能性に偏っている」が4割台で最も多く、次いで「生徒の進路意識や進路選択態度に望ましい変容が見られない」「進路学習を実施する十分な時間が確保できない」が25%を超えている(図3)。
このように、さまざまな課題がある中で、多くの中学校が手間と時間を掛けて職場体験を実施しているのが現状のようだ。そこで、今回は、5日間の職場体験を中心としたキャリア教育で、生徒の職業観、就労観の育成だけでなく、生徒に学ぶことの意味を考えさせ、学習意欲の向上にも効果を上げている宮城県仙台市立寺岡中学校の取り組みを紹介する。