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 小論文指導

効果的な取り組みのための手順とポイント3

小論文指導

「自ら学ぶ」生徒を育てる小論文指導を……

 小論文指導に力を入れる高校が増えている。直接の要因は小論文を入試科目に課す大学の増加にある。もう一つには、生徒が自らの価値観を育て、将来の目標を確立して学ぶ目的を見出し、課題を論理的に考え、解決できるようになってほしいという教師の思いがある。小論文で養成できる力は社会でも必要とされている力であり、1年次からじっくり取り組むことが望ましい。小論文指導のステップ、留意点などを考える。


■小論文指導の目的と意義■
学ぶ目的を見出し、自ら問題を解決する生徒を育てる

 優れた小論文を書くためには、自ら課題を見つけ、自分の頭で考え、他者に理解できるように論理的に展開し、自分の言葉で表現すること、そして、それらに必要な教養を幅広く身に付けることが重要となる。
 この小論文に必要とされる要素は、図らずも、今の多くの生徒に欠けていると言われるものだ。社会的関心がない、自分が何をしたいのか分からない、マニュアル化した考え方に寄り掛かって自分の頭で考えない、自己表現が苦手……。つまり、小論文の指導は、生徒に身に付けてほしい「豊かな人間性」を高めることにつながると言えるだろう。
 従来、小論文指導は入試対策の一環として行われてきた。確かに、入試に小論文を課す大学が増えていることから、小論文指導の必要性は高まっている。
 しかし、単に「志望校合格」という目先の目的だけではなく、小論文指導を通して養われる力が生徒の将来にもたらす効果への期待も大きい。自己表現を通して他者と交流する中で、自己の価値観を育て、将来への目的意識を明確にすることは、「今」の日々の学習への動機付けに役立つ。また、幅広い教養と論理的な思考力は、大学での学びや研究に不可欠であるし、将来、社会人になったときにも求められる力だ。このように、小論文指導の意義は益々高まっていると言えるだろう。
 自分の頭で考え、豊かな内容の文章を書く力は、一朝一夕に身に付くものではない。また、3年次での小論文指導はどうしても目先の入試対策が中心となってしまう。早い段階、できれば1年次の段階から進路学習などと結び付けて指導を行うことが望ましい。

図 ● 先生が小論文指導上育成に困っている点
先生が小論文指導上育成に困っている点

図 ● 小論文を出題する国公立大・学部数の推移
小論文を出題する国公立大・学部数の推移

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