■part 1■ 3年間を通した指導プランの留意点
課題内容を段階的にアップさせる
生徒が前向きに小論文学習に臨むために、それが大学受験のためだけでなく、大学入学後や社会人になっても役に立つことを伝えたい。そして、小論文を書く手順を理解させ、基本的なルールを説明する。それらを生徒に伝える場として、全生徒を一堂に集め、ガイダンスや講演会を開くとよい。勉強法について記した『小論文の手引き』を配布する高校も多い。
1、2年次のうちは「書く楽しさ」を感じさせることに重点を置く。書くという作業は慣れていないと難しい。折に触れて自由に書かせることで、書くことに慣れること、そして書く楽しさが分かってくるようにさせたい。したがって、最初から型にはめるような指導は避ける。1、2年次の指導では添削をせず、教師が数百字程度のコメントを書くだけという高校もある。
また、課題について自分で考え、書くことを通して、社会問題などの存在に気が付き、自分の考えを育て、新しい世界に目を開かせるようにする。それは、いわば「自分の殻を破る」ための作業でもある。初めはテーマを「自分」や「学校」など身近に求めても、次第に社会問題などに関心を向かせるようにする。「新聞の社説から興味あるテーマをピックアップし、要約する」という課題から始めるのも一つの方法だ。教師側から素材(テーマ)を提供して、その問題について書かせてもよい。
生徒のスキルが上がってきたら本格的に小論文を書かせる。資料文や統計・グラフなどの素材を与え、特定のテーマについて、時には制限時間、文字数を指定して書かせたい。3年次では全体構成、論旨の的確さなど内容面の指導だけでなく、入試を想定して、文章上の細かいテクニックもきちんと指導したい。
図 ● 効果的な小論文指導のためのSTEP
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