VIEW21 2000.9  クラス運営・進路学習のためのVIEW'S method
 小論文指導

■part 6■ 評価・添削
生徒同士による相互評価は生徒を成長させる

 生徒の中には、小論文にも数学のように一つの正解があると考える者がいる。課題に対する望ましい見解はあるが、小論文の正解は一つではなく、自分で考えて表現することが大切であることを伝え、また添削にもそれを反映させていきたい。
 評価・添削の仕方にはいろいろな方法があるが、一つの方法として「最初によい部分を褒めて、次に課題点を書く」という方法がある。課題点は生徒自身が気が付いていない点を指摘すると効果的だ。単に指摘するだけでなく、次にどうすればよいかの方策を付け加えるようにしたい。また、教師自身の考えなどをコメントし、生徒に多様な考え方があることを示すのもよいだろう。もちろん、誤字脱字の他、表現のおかしな箇所は添削する。
 添削指導に不安を持つ教師に対しては、「書き手の考え方が伝わってくるかどうかが重要」という見方に立った添削もあることをまず理解してもらう。評価・添削のポイントを示した冊子などを作ることで、そうした不安を軽減することができる。教師によって評価・添削の基準が大きく異なることもなくなり、特定の教師に添削が集中する事態も避けられるだろう。
 生徒同士による相互評価も積極的に取り入れたい。他の生徒の文章を読むことにより、いろいろなものの見方があることに気が付き、さらに自分の考え方や文章を見直して、考えを深めることができる。その場合も、評価するポイント、例えば与えられた素材の内容をつかんでいるか、書き手の視点があるかなどを生徒に示して、建設的な相互評価につながるようにしたい。次に書くとき、生徒が評価ポイントを意識して書けるという効果も期待できる。

■part 7■ 動機付けのための活動案
コンクールへの応募で、生徒のやる気を刺激する

 生徒の「文章を書く」「ものごとを考える」ことへの意欲を高める活動も効果的に組み込んでいきたい。

●各種コンクールへの応募
 生徒が個人で応募する場合と、学校が窓口になる場合がある。一般的には後者が多いようだ。課題を出すとき、優秀作は各種コンクールへ応募する旨をあらかじめ伝えておくとよいだろう。入賞すれば、推薦入試や国公立大2次試験の面接でのアピールポイントにもなる。また、校内コンクールを開催してもよい。

●新聞への投稿
 自分の意見が多くの人の目に触れる機会を得ることは、それ自体が喜びとなる。投書欄を読み、老若男女の意見を知るという効果も期待できる。

●小論文の冊子化
 冊子にまとめれば、生徒同士で回覧することができる。また、次年度に残すこともできる。先輩が書いた小論文を読んで刺激を受けるだけでなく、テーマ選定や考え方、文章の書き方の面でも参考になる。

●講演会の感想文
 講演は聞きっ放しにせず、内容の要約と「学んだこと」「自分はどう思うか」などを書かせるとよいだろう。

●ホームページへの掲載
 ホームページを見た人から思わぬ反応があると、次の活動への励みになる。コンピュータ・リテラシーの養成にも役立つ。

●ディベート
 論理的にものごとを考える能力、効果的に意見を展開するスキルが身に付く。ディベートでは討論に勝ちたいという意識が加わるので、調べたり考えたりすることに一層熱が入る。他者との議論を通して「こういう考え方もあるんだな」「これもよい方法だな」と多様な価値観にも気付く。入試の小論文の中にも「賛成か反対かの立場を明確にして……」といったディベート的な要素を持った出題が少なくない。


<前ページへ

このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。