取り組みの展開例2
「総合学習」としての小論文学習
小論文学習は進路学習と並んで「総合的な学習の時間」における取り組みの主流になると考えられるが、従来の受験小論文学習をそのまま移行させるのは難しい部分もある。では「総合的な学習の時間」における小論文学習とはどういうもので、どんなところに重点を置くべきだろうか。具体的な学習例を基に指導シナリオを考える。
担任が指導でき、生徒が主体的に
取り組める小論文学習
2003年からスタートする「総合的な学習の時間」(以下「総合学習」)において、特に進学を希望する生徒を多く抱える高校では、次の三つの要件を満たす取り組みが中心になるものと考えられる。
- 高校が活性化するような取り組み
- 生きる力を育むものでありつつも、進学にも活きる取り組み
- 高校の足並みが揃いやすい取り組み(既に取り組んできたことをベースにできる取り組み)
これらを考慮すると、進学希望者の多い高校の「総合学習」の取り組みは、進路学習や小論文学習が中心になると思われる。そこで今回は、「総合学習」における小論文学習の在り方について考えてみる。
読ませる、書かせる指導が中心に
従来、受験対策を目的として小論文学習を行う高校が多かったが、果たしてそれをそのままの形で「総合学習」へ移行することができるのだろうか。編集部が行った全国の高校教師へのヒアリング調査によると、次のような問題点が浮かび上がってきた(教師の声で最も多かったものを傾向としてまとめた)。
従来の小論文学習を「総合学習」に移行すると……
- 高1、高2であれば入試小論文対策でなくてもよい
- 「総合学習」で入試小論文指導を1年間行うのは非現実的
- 専門性が高く、担任では指導するのが難しい
- 添削指導など非常に大きな負荷がかかる
ここから分かるように、入試小論文一本槍では、「総合学習」は成立しづらいという感触を教師は持っているようだ。そこで、編集部では「総合学習」で行う小論文学習の在り方について、さらにヒアリング調査を行った。
「総合学習」における小論文学習の要件
- 高1、高2であれば読ませる、書かせる指導で十分
- 生徒の知的好奇心を掘り起こせる取り組み
- 担当教科外の高度な専門知識を必要とせず、担任が指導できること
- 生徒が主体的に取り組めるものであること
つまり「総合学習」では、従来の入試小論文をそのまま移行させるのではなく、何らかの形で深化させる必要があることが分かる。そこで編集部では、ヒアリング調査の結果を基に「総合学習」における小論文学習的な取り組みはどうあるべきか、仮説を立ててみた。次の章でその仮説について詳解していく。
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