小論文学習を深化させた
双方向型の「表現学習」へ
「総合学習」において小論文学習的な取り組みをどのような指導シナリオで展開していくかを考える前に、まず「総合学習」を活性化した場にしていくためには何が必要なのかを考えてみたい。
「総合学習」、ひいては学校を活性化するためには、生徒の“主体的態度”が不可欠である。生徒が意欲を持って取り組み、さらにそれに対していろいろな立場や価値観を持った生徒(あるいは学外の第三者)からの反応があるという回路を形作っていくことが、「総合学習」では求められる。つまり、教師が知識を与えるだけの一方向の学習活動ではなく、生徒にとって双方向の学習活動でなければならないと考えられる。
では、双方向の学習活動とはどのようなものであるべきだろうか。双方向の学習活動を成立させるためには、まず生徒自身の意見や考えを外に向けて表出させる学習行為(表現学習)を、様々な取り組みに仕掛けとして盛り込むことが必要である(表1参照)。当然のことながら、何かを発信しなければ、それに対するリアクションは返ってこないからである。
楽しく、主体的に意見や考えを表出させる
もちろん、生徒に主体的態度を身に付けさせるには、その前提としてまず生徒自身が楽しく取り組めるものでなければならない。少なくとも年間30時間前後ある学習活動に対して、継続して主体的に取り組ませるには、ある意味で“遊び”の要素が不可欠であると思われる。
この点も含めて、「総合学習」において、表現学習に求められる要件を教師の声からまとめてみた(表2参照)。ここで明らかになった四つの要件を念頭に置いて、次に表現学習の具体的な取り組み例を見ていく。
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