VIEW21 2000.9  創造する 総合的な学習の時間

パターン(3) 表現学習×情報学習×体験学習
テーマ例 ● 高齢者にも分かるワープロ活用マニュアルを作ろう

〈取り組み〉
高齢者が使えるワープロ活用マニュアルを作る。その後老人福祉施設などを訪問し、実際に活用してもらう
〈学習目標〉
・パソコンの基本的な活用方法を身に付ける
・自分の意図を相手にうまく伝えるための思考力、表現力を身に付ける
・福祉的態度を身に付ける
・コミュニケーション力を身に付ける

 生徒にパソコンやそのソフトの活用の仕方を身に付けさせるには、「自分は何のためにこれを身に付けるのか」をあらかじめ生徒に明確に理解させ、学習へのモチベーションを高めてやることが重要になる。
 そこでここでは、高齢者にも使えるワープロ活用マニュアルを作ることを生徒の最終目標にした。メディアリテラシーに関しては自分たちよりも理解が進んでいない第三者に向けてのマニュアルを作る、という取り組みであれば、生徒はどうやったらより分かりやすいものができるかという観点で、具体的な表現について考えるだろう。それにはまず自分たちがパソコンについて理解することが必要となるため、活用方法を身に付けることにも前向きになるはずだ。
 マニュアルを作ったら福祉施設などを訪問し、実際にワープロの使い方を高齢者に説明させてみる。実際の行動を伴わせることで、生徒の取り組みへのモチベーションは高まり、高齢者と接することで福祉的態度も養うことができるだろう。

ま と め
 表現学習を軸に「総合学習」でどのような取り組みが考えられるかを述べてきたが、結局は大上段に学習目標を掲げるのではなく、いかに生徒のモチベーションを高めるための課題設定をするかがカギとなる。教師がちょっとした仕掛け・工夫を演出することで、生徒は驚くほど乗ってくることもある。「総合学習」では、いかにそのような仕掛けを盛り込むかが取り組みの成否を決めることになる。
 なお、学習目標を大上段に掲げない旨を述べたが、取り組みの最後には必ず教師の側からその取り組みの意図を伝えたい。それによって、生徒は取り組みの本来の目的を理解し、それを身に付けた手応えを得ることができる。それは、きっと次への取り組みのモチベーションにつながるはずだ。

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