岩手県立盛岡第三高校
様々な工夫を取り入れて4技能をしっかりと養成し
英語力アップを目指す
中学校から高校へ上がる段階で、指導方法の違いから英語が嫌いになり、成績が伸び悩む生徒は少なくない。岩手県立盛岡第三高校は、その点に着目し、指導に様々な工夫を取り入れ、英語力アップを図っている。
「まずALT(外国語指導助手)との活動を授業に積極的に取り入れました。中学校ではALTとのコミュニケーション主体の授業のようでしたし、私自身、異文化の人とコミュニケーションできる喜びを生徒に体験して欲しいと思ったからです」と、第2学年担当の小澤利博先生は話す。それまで同校の英語の授業は文法と読解が中心だった。しかし、前年度の第1学年からオーラルコミュニケーションBでリスニングだけでなく、ALTとの活動や、ペアワークでのスピーキングも取り入れたのだ。また、英語Ⅰの授業の冒頭では『トム・ソーヤの冒険』といった少年少女向けの洋書を5分間で2ページほど速読させ、内容確認のテストを行っている。読解力の養成を目的としているが、出題文は英文、解答も英語で書かせ、解説も英語で話すなど、英語に触れる機会を増やしている。
徹底的な復習で下位層を減らす
「聞く、話す、読む、書く」の4技能を使う授業を行う一方で、1年間で文法力を完成させることを目指して、文法の指導を強化した。鈴木耕二郎先生はその理由をこう語る。
「非常に残念ですが、岩手県は他県に比べて英語の成績が低く、本校では特に文法が弱いという特徴がありました。基礎がしっかりしていなければ、真のコミュニケーション能力は身に付きません。実践だけでなく、文法を系統立てて勉強することも、コミュニケーション能力の養成の一環と考えました」
授業を効率よく進めるため、生徒が持つ辞書を統一させ、解説の詳しい参考書をサブテキストとして授業に使用。辞書も参考書も、教科書と同様に教師の指示に従って一斉に開くことができ、説明しやすいからだ。また、生徒に配るプリントには、テストで間違えやすい問題や解答のヒントなど、必ずプラスαの情報を盛り込んだ。
「文法はルールですから覚えるしかない。でも、単調作業にならないよう、生徒の記憶に残るように授業を工夫しました。くじを引かせて当たった生徒に暗唱させたり、文法規則に勝手に名前を付けたこともあります。to-不定詞の否定形は、toの前にnotが付くので“なっとうの法則”というようにです」(小澤先生)
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